

Photoshopを勉強している方
「このパース、なんか物足りないんだよなぁ」
「いつも同じ表現になってしまってつまらない・・・・」
「簡単に映えないかなあ」
そんなことを考えている方に向けた記事になる
今回ご紹介する内容は
建築コンペや課題のプレゼンにCGパースを利用するだろう。
パッと見で人目を惹きつける必要があるが、そもそもそんな技術ないと諦めていないだろうか。
実際には、レンダリン後のレタッチを「効果的に行う」ことで十分魅力的な画を作り上げることが可能だ。
そのやり方を知っているか知らないかが大きな結果となってあらわれるのである。
この記事では
Photoshopでのレタッチを駆使することで、普通のレンダリングを魅力的なものへ変貌させるテクニックを紹介する。
真新しいものはないかもしれないが、簡単に実践できるものばかりだ。
このようなテクニックを知っておくことで、CG制作の可能性を高めることになるだろう。

既に合成を中心にレタッチを行っている左の画像から、右の対応完了画像までのプロセスを解説していく。

もとになった画像はこのレベルのレンダリングから、ガラス窓・植栽・人物を合成したいったものだ。
その方法も解説している記事があるので併せて読んでいただきたい。
>>【建築パース】見れば必ずわかる!窓ガラスの表現方法【3DCG】
>>【建築パース素材】プロが徹底解説 切り抜き人物素材とその合成方法
>>【建築パース】プロが徹底解説 切り抜き樹木・植栽素材とその合成方法

コチラからダウンロード(PSDファイル 4.1MB)
レタッチテクニックその1. 「ハイライト・シャドーを追加」
光が当たって明るくなっているところと影になっているところには、明暗のグラデーションが発生する。
3DCGソフトからレンダリングされた画像は平坦な状態が多いので、ハイライトとシャドーを強調し、そのグラデーションを意図的に発生させていく。
1-1. ハイライト

- 新規レイヤーを追加、名前をハイライトに変更(名前常に変更することは重要である)
- 光が当たって明るくなるであろう場所に、ブラシツール(B)・ソフト円ブラシ・色:白で↑(赤矢印)のように描く
- ハイライトレイヤーの描画モードを「オーバーレイ」に 不透明度を40%にしてバランスを見る。

1-2. シャドー

- 新規レイヤー追加、名前をシャドーに変更
- 入隅や光が回らず暗くなるであろう場所に、ブラシツール(B)・ソフト円ブラシ・色:黒で↑のように描く
- シャドーレイヤーの描画モードを「ソフトライト」に 不透明度を40%にしてバランスを見る。
(効果を強く反映させたいときは「オーバーレイ」で、やわらかくしたい場合は「ソフトライト」を使う)
このシャドーの効果が人にも被ってしまっている状態なので調整する。

- シャドーレイヤーを選択した状態で下にあるレイヤーマスクを追加をクリック
- チャンネルタブよりアルファチャンネル3のサムネイルをcommand+クリック(Mac)
- シャドーレイヤーのマスク部に選択した範囲を黒で塗りつぶし
これで人の部分のシャドーが反映されなくなる。マスクの使い方を理解してない場合はここで解決しておいて欲しい。
シャドーが追加されたことでより一層のコントラストが生まれる。
レタッチテクニックその2. 「手前に背面人物を若干大きく配置」
人物合成については、以前詳しく説明した記事がある。
その時にも紹介した「手前に後ろ姿の人を配置する」にプラスして、若干大きめに人物合成を行う。
まだ記事を読んでいないかたは是非確認して欲しい。
>>【建築パース】プロが徹底解説 切り抜き人物・CG素材とその合成方法
今回も「MrCutout.com」さんからの素材を利用する (walkingとBackangleのフィルタをかければすぐに見つかる)


左右の下部にそれぞれ配置した。施設へ向かっていく人々の奥行が出てきたと思う。
レタッチテクニックその3. 「樹木や植栽の彩度を落とす」
木や緑を配置した場合、青々としたその様子を強調したくなってしまう。しかし彩度の高い緑は稚拙に感じる場合は少なくはない。
特にこだわりがない場合、緑は彩度を下げておくことをおすすめする。
彩度を下げるには「色相・彩度」を利用するが、後の調整がしやすいように、木や緑の選択範囲に限定したフォルダをレイヤーマスクを使って作り、その中に補正レイヤーを入れる。一見面倒な方法だが、修正・変更が起こった時に手間が省ける。是非覚えておいて欲しい。

- フォルダを追加、名前を緑に。そこにレイヤーマスク追加。
- シャドーで人の部分を除外した時と同様に、今度はアルファチャンネル1のサムネイルを[command+クリック]
- 緑フォルダのレーヤーマスクに黒で塗りつぶしてから[Command+I]で反転
これでフォルダ内の効果がアルファチャンネル1の樹木部分だけに反映される状態になる。 - 色調補正タブから色相・彩度をクリック。緑フォルダに入れて、彩度の値を-70に。

配置した人物も彩度が高い場合は落としていく。
植栽についてはこちらの記事でまとめてある。まだ読んでない方は是非確認して欲しい。
>>【建築パース】プロが徹底解説 切り抜き樹木・植栽素材とその合成方法
レタッチテクニックその4. 「カラールックアップ」
こちらも以前の記事で詳しく取り上げている。
>>【建築パース】カラールックアップ・レタッチテクニック

レイヤーの一番上にカラールックアップを配置し、「Kodak 5218 Kodak2383 (by Adobe).cube」を不透明度80%で反映した。一瞬で雰囲気が変わったのがわかるだろう。
レタッチテクニックその5. 「前景樹木を配置+擬似被写界深度」
建築パースの上部に樹木が見えがかっている状態のものがあるかと思う。
よく使われる手法だが、それをぼかすことで擬似的な被写界深度が表現できる。グッと奥行き感が出てくるだろう。
「sozaiya.com」さんの無料素材 上部メニュー [Tree] > [04前景樹木-Trees] よりこの2点を利用する。


上部左右に配置した。この前景レイヤーに[フィルタ]>[ぼかし]>[ぼかし(ガウス)] 半径4.0pixleで反映させる。
彩度が強かったのでこちらも「色相・彩度」で調整を行った。

レタッチテクニックその6. 「逆光〜レンズフレア」
物足りないなと感じた時に、皆が利用していたレンズフレアをあえて今、使ってみたいと思う。個人的には反則技なイメージ。

- 最上部にレイヤー追加、黒で塗りつぶし 描画モードを「スクリーン」に
- そのレイヤーを選択した状態で[フィルタ]>[描画]>[逆光]
- 十字マークを動かしながらフレアを起こしたい箇所に設置、明るさ・レンズの種類を選んでOK

レタッチテクニックその7. 「ぼかし〜オーバーレイ」
最終的にいまいちだと感じた時に、以前よく利用していたテクニック。コントラストが高められ、艶感が現れてくる。

- いままで作成していたレイヤーを統合して1つに(レイヤーウィンドウ右上三本線より画像を統合)
- そのレイヤーを複製し、それに[フィルタ]>[ぼかし]>[ぼかし(ガウス)]で半径30pixleを適用
- 投影モードをオーバーレイにして不透明度を50%に

今回紹介する7つのレタッチテクニックを反映した完成画像になる。ある程度の合成が完了した状態からのスタートなので劇的に変わるわけではないが、奥行は付加できたはずだ。
建築パース 簡単雰囲気アップレタッチテクニックまとめ
以上が簡単に雰囲気が出せるレタッチテクニックである。
最後にそれぞれの項目をもう一度確認しておこう。
▽ハイライト・シャドーを追加
▽手前に背面人物を若干大きく配置
▽樹木や植栽の彩度を落とす
▽カラールックアップ
▽前景樹木を配置+擬似被写界深度
▽逆光〜レンズフレア
▽ぼかし〜オーバーレイ
の計7つである。
自分のやり方が定着してくるといつも同じパースになってしまう。場面に合わせて取り入れ、多様な表現を模索してみよう。
その他のレタッチテクニックはこちらにまとめてあるので確認していただきたい。
>>建築CGの描き方・レッタッチテクニックまとめ
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