「外観パース」とは?その種類、作り方や利用方法を解説

外観パースは建築計画や不動産のプレゼンテーションにおいて、重要な役割を果たしながら、クライアントや購入予定者へ訴求力を高めるビジュアルツールである。

本記事では、外観パースに関する基礎知識から、その制作にかかる費用、そして最適な依頼先の見つけ方に至るまでを包括的に解説する。外観パースがどのようなものか、手書きとCGによる違い、異なるアングルや時間帯による印象の変化について言及していく。また、制作を外注する場合のメリットとデメリット、内製する場合の考慮すべき点などについても詳しく説明していく。

本記事は、外観パース制作に関する全体像を把握できるような、包括的なガイドとなることだろう。

目次

1. 外観パースとは?

まずはその基本定義から種類、バリエーションをそれぞれ解説していく。

1-1. 外観パースとは何か、その基本定義と概要

外観パースは、建築計画や不動産プロジェクトの外観をビジュアル化する技術であり、プロジェクトの概念やデザインをリアルな画像で表現する手法である。このツールは、実際に建設が始まる前に、建築物がどのように見えるかを示すために使用される。デザイナーや建築家は建物の形状、色、材質、環境との関係性など、様々な要素を関係者に伝えることが可能になる。

1-2. 外観パースには手書きとCGの2種類がある

外観パースを制作する方法には、手書きとCG(コンピュータグラフィックス)の二つの技法がある。これらの技法は、それぞれ独自の特徴と利点を持ち、プロジェクトの要求や目的に応じて選択される。

手書きパース
伝統的なアプローチであり、ペン、インク、水彩などの画材を使用して制作される。この技法の最大の特徴は、アーティスティックな表現力にある。手書きによるパースは、独特の質感や温かみを持ち、デザインのコンセプトや雰囲気を直感的に伝えることができる。また、制作過程で生じる微妙な筆圧や色のニュアンスが、パースに深みを与え、視覚的に魅力的な結果を生むことがある。
しかし、手書きパースは制作に時間がかかる場合が多く、修正が必要になった場合には大きな手間がかかることが多い。

CGパース
CGによるパースは、3Dモデリングソフトウェアを使用してデジタル環境にて制作される。この技法は、高い精度とリアリズムを実現することができ、建物の材質、照明、影の効果など、細部にわたる表現が可能。CGパースはデジタルによる制作のため、修正や変更も比較的容易に対応することができる。また、仮想現実(VR)や拡張現実(AR)といった新しい技術と組み合わせることで、より没入感のあるプレゼンテーションが可能になる。

1-3. アングル(アイレベル・鳥瞰)によるバリエーションがある

外観パースにおけるアングルの選択は、建築物をどのように表現し伝えるかに大きな影響を与える。主にアイレベルと鳥瞰の二つのアングルが用いられ、それぞれが異なる視点から建築物の特徴や環境との関係を捉えることができる。

アイレベル
アイレベルのアングルは、人が地面に立って建築物を見る視点によるものである。アイレベルからの視点は、建築物の人間的なスケール感を伝え、見る者に対し、違和感なくその建物のイメージを伝えることができる。さらに、ディテールや質感を細かく描写することで、デザインの細部に対する理解を深める効果もある。このアングルは、建築物を実際に見る際の体験や雰囲気を伝えるのに特に適している。

鳥瞰
鳥瞰のアングルとは、上空から建物を見下ろす視点のことである。このアングルは、建物全体やその配置、周囲の環境との関係性を一目で把握することができるため、プロジェクトの全体像を理解するのに役立つ。鳥瞰からのパースは、敷地の利用計画やランドスケープデザイン、近隣との調和など、広い範囲の情報を視覚的に伝えることが可能である。

アイレベルと鳥瞰のアングルは、それぞれ異なる目的と効果を持ち、建築プロジェクトを視覚化する際に異なる点を強調する。目的や伝えたいメッセージに応じて、これらのアングルを適切に選択し組み合わせることで、建築物の魅力を多角的に伝え、より深い理解を促すことができる。

1-4. 昼・夕方・夜景でも印象が変わる解説

外観パースにおける表現する時間帯の選択は、建築物が異なる光の条件下でどのように見えるか、そしてどのように印象が変わるかを示すことができる。

昼間のパース
昼間のパースは、太陽光のもとで建物がどのように見えるかを示す。この光の条件下では、建物の色彩、材質の質感、そして影の落ち方が鮮明に表現される。昼間の光は、建築物のディテールを際立たせ、外装の材料が持つ本来の色や質感を忠実に伝えることができる。CGパース制作の現場では8割以上がこの晴天のシーンによるものである。

夕方のパース
夕方のパースは、日没時の柔らかい光と長い影が特徴で、建物に温かみと落ち着きを与える。建物が周囲の環境とどのように調和するか、またはその中でどのように際立つかを示す上で有効である。さらに、照明の利用が始まる時刻なので、建物内外の照明計画やライトアップされた姿をプレビューする際にも役立つ。

夜景のパース
夜景のパースは、周囲が暗くなる中で建物がどのように光を放つかを表現する際に用いられ、光と影のコントラストによるドラマチックな演出が可能である。夜景は、建物が夜の都市の景観の中でどのような存在感を放つか、また特定の照明デザインが建物やその環境にどのような雰囲気をもたらすかを表現する。特に公共施設やランドマークとなる建築物では、夜景のパースを通じてその象徴性や視覚的魅力を強調することができる。

昼、夕方、夜景という異なる時間帯のパースを使用することで、建築物の多様な魅力とその時間帯に応じた雰囲気を捉えることができる。

2. 外観パースを制作するメリット

建築計画や不動産プロジェクトにおいて外観パースを制作するメリットは様々なものがある。それらを詳しく解説していく。

2-1. クライアントや不動産購入予定者への訴求力が高まる

外観パースを利用することでクライアントや不動産購入予定者への訴求力が高まるのは、主にビジュアルが持つ直感的な刺激と感情へのアプローチによるものである。以下に、その具体的な側面を深堀りして説明していく。

直感的な理解の促進
外観パースを利用すると建築計画のビジュアル化により、複雑なプロジェクトの内容やデザインコンセプトを直感的に理解することができる。クライアントや購入予定者は、平面図や立面図、断面図などの専門的な図面を読み解く必要がなく、パースを見るだけで建物の外観、スケール感、素材などを瞬時に把握できるのである。この直感的な理解は、情報の処理速度を上げ、プロジェクトに対する興味や好奇心を刺激することができる。

感情的なつながり
外観パースは、ただ建物を見せるだけでなく、その建物を利用する際の生活や雰囲気を伝えることができる。昼光の下での明るい外観・夜にライトアップされた温かみのあるシーンは、視覚的に魅力的であり、クライアントや購入予定者の感情に訴えかけることができる。ビジュアルを通じて建物と感情的なつながりを感じ、その結果、プロジェクトへの関心や購買意欲を高めることができるのである。

信頼感の構築
高品質な外観パースを提供することで、プロジェクトに対する信頼を築くことができる。リアルなパースは、プロジェクトの現実的な側面と、計画段階での細かな配慮がを表現することができる。これによりクライアントや将来の購入者は、プロジェクトが専門的な手法で慎重に行われていると認識し、プロジェクトやその提供者への信頼を構築していく。

競合との差別化
市場には多くの建築計画や不動産が存在し、それぞれが潜在的なクライアントや購入者の注意を惹きつけようとしている。外観パースを活用すると、自身のプロジェクトを他のものと差別化することができ、独自の魅力を前面に打ち出すことが可能になる。魅力的でリアリスティックなビジュアルは、競合他社の提供する一般的なビジュアル資料よりも、明確な優位性を提供することができる。

外観パースは、クライアントや不動産購入予定者への訴求力を顕著に高め、プロジェクトの成功に貢献する重要なツールなのである。

2-2. ブランドイメージが構築できる

高品質な外観パースは、企業やブランドの専門性、信頼性、および独自性を伝えることができ、これらはブランド価値の向上に貢献する。

専門性のアピール
外観パースは、建築や不動産開発の分野での専門知識と技術力を示す手段としても機能する。細部にわたるリアリスティックなパースを提供することで、高度な技術力を持ち、品質に対する厳しい基準を適用していることをクライアントに示すことができる。

独自性の強調
独自のデザインコンセプトや特徴的な建築スタイルを外観パースで表現することで、ブランドの個性や独自性を強調することができる。これは、市場内での明確なブランドイメージを確立し、潜在的なクライアントや購入者に強い印象を与えることに繋がる。

コンセプトの一貫性
外観パースを含むすべてのマーケティング資料において、デザインコンセプトやビジュアルアイデンティティの一貫性を保つことで、ブランドイメージの認識を強化できる。一貫したビジュアルは、ブランドの認知度を高め、市場におけるブランドの視認性を向上させる。

高品質な外観パースを戦略的に利用することで、企業は強固なブランドイメージを構築し、競争が激しい市場においても差別化を達成することが可能である。ブランドイメージの強化は、長期的な成功に不可欠な要素であり、外観パースはその強力なツールの一つとなる。

2-3. 販売促進につながる

外観パースが販売促進に果たす役割は、その視覚的魅力と情報提供能力のためである。リアルで魅力的なパースを使用することで、潜在的な購入者の注意を引き寄せ、建築プロジェクトや不動産への興味を喚起することができまる。以下に、外観パースが販売促進においていかに効果的であるかを深堀りして説明していく。

興味と好奇心の喚起
外観パースは、プロジェクトを現実に近い形で表現することができるため、視覚的に訴えかけることができる。これにより、潜在的な購入者の興味や好奇心を刺激し、プロジェクトに関するさらなる情報を求める動機付けとなる。特に、完成前の不動産プロジェクトにおいて、外観パースは見る者の想像力を補い、プロジェクトの潜在的な価値を視覚化することができる。

感情的なコネクションの構築
高品質な外観パースは、ただ建物を見せるだけではなく、そこでの生活の様子や雰囲気を伝えることが可能である。例えば、家族が庭で遊ぶ様子、リビングルームから見える美しい景色などを描くことで、潜在的な購入者に物件への興味を増幅させることができる。

プロジェクトの差別化
市場には数多くの建築プロジェクトや不動産が存在し、それぞれが購入者の注目を集めようとしている。外観パースを利用すると、プロジェクトが持つ独自の特徴や魅力を表現することで、競合他社との差別化を図ることができる。この差別化は、購入者の意思決定プロセスにおいて、大きな影響を与える。

購入前の不安の軽減
外観パースは、プロジェクトが完成した際の具体的なイメージを提供することで、購入前の不安や疑問を軽減することができる。購入予定者は、パースを通じて物件の外観や周辺環境、空間の利用方法などを事前に把握することができ、より確信を持って購買決定を下すことが可能になる。

外観パースを効果的に活用することで、販売促進戦略の重要な要素として機能し、建築プロジェクトや不動産の市場での成功を支援します。視覚的魅力と情報提供のバランスが、潜在的な購入者の関心を引き、最終的な購入に繋がる感情的なコネクションを構築する鍵となります。

2-4. イメージの相違が回避できる

プロジェクトの初期段階からリアリスティックな外観パースを共有することで、クライアント、開発者、設計者間での認識のズレを最小限に抑えることができる。以下に、その効果を深堀りして説明していく。

具体的なビジュアルの共有
外観パースは、建築物や開発プロジェクトが完成した際の具体的なビジュアルを事前に提供できる。このビジュアル情報は、言葉や図面だけでは伝えきれないデザインの意図や、空間の雰囲気、材料の質感などを明確に示すことができる。プロジェクトに関わる全ての人が同じビジュアルを基に話し合うことで、イメージの相違を防ぎ、共通の理解を築くことが可能となる。

期待値の透明性
外観パースを用いることで、クライアントや将来の利用者の期待値を適切に保つことができます。リアリスティックなパースにより、プロジェクトの可能性だけでなく、限界や制約も透明に示すことができるため、現実離れした期待が生じるのを防ぐことができる。この透明性は、プロジェクト進行中のトラブルや誤解を回避し、クライアントとの信頼関係を維持するのに役立つ。

デザイン変更の容易さ
外観パースは、プロジェクトの進行中にも変更や調整が必要になった場合に、その内容を迅速に視覚化することができる。デザインの変更点をパースで具体的に示すことで、クライアントや関係者は変更後のイメージを容易に理解し、同意することができる。このプロセスは、プロジェクトのスムーズな進行を促し、最終的な満足度を高めることに寄与する。

コミュニケーションの効率化
外観パースを活用することで、設計者や開発者は、プロジェクトについての説明をより効率的に行うことができる。ビジュアルを用いた説明は、言葉だけの説明よりも迅速かつ正確に情報を伝えることができ、誤解のリスクを減少させる。また、関係者間のコミュニケーションが活発になり、より創造的で実現可能なアイデアが生まれやすくなる。

外観パースを利用することで、プロジェクト関係者間のイメージの相違を効果的に回避し、プロジェクトの成功率を高めることができる。具体的かつ共有可能なビジュアル情報は、コミュニケーションのベースとなり、プロジェクトにおける認識の一致を促進する。

2-5. デザインシミュレーションが可能

外観パースを活用したデザインシミュレーションは、建築や不動産開発プロジェクトにおいて非常に有効な手段である。計画段階においてさまざまなデザインオプションや材料選択、色彩の適用、照明効果などを視覚化し、比較検討が可能となる。

デザインの選択肢の模索
デザインシミュレーションを利用することで、プロジェクトチームは複数のデザイン案を迅速に試し、それぞれの視覚的な影響を比較検討することができる。外壁の材質や色、窓のサイズや配置などの要素を変更し、それぞれのデザインが建築物の外観に与える影響を確認することができる。創造的なアイデアの試行錯誤によって、最適なデザインを選択することが可能になる。

材料と色の効果の検証
デザインシミュレーションにより、異なる材料や色を用いた際の、外観上の違いをリアルに確認することができる。特定の材料が太陽や人工光の下でどのように見えるか、また色の選択が建物の印象にどのような影響を与えるかを事前に確認できる。これにより、デザイン意図に合致した選択ができ、期待外れの結果を回避することができる。

照明効果の評価
自然光と人工光の両方の影響を考慮した照明計画の検討が可能である。日中と夜間の異なる照明条件下での建物の外観をシミュレートし、照明デザインが空間の雰囲気や意匠に与える効果を確認できる。適切な照明計画は、建物の美しさを最大限に引き出し、安全性や快適性を確保するために不可欠である。

ステークホルダーの意思決定のサポート
デザインシミュレーションは、クライアントや他のステークホルダーとのコミュニケーションにおいて重要な役割を果たす。リアリスティックなビジュアルを共有することで、デザインに関する意思決定プロセスを促進し、ステークホルダーの合意形成を容易にすることができる。視覚的な情報は、テクニカルなデータや図面だけでは伝えにくいデザインの価値を伝えることができる。

デザインシミュレーションを活用することで、建築プロジェクトはより効率的な計画段階を経ることができ、最終的な建築物が持つべき美的価値と機能性の両方を最大限に引き出すことが可能となる。

3. 外観パースは外注?内製?

外観パースの制作を外注するか内製するかは、プロジェクトの特性、利用可能なリソース、予算、納期など多くの要因に基づいて決定される。それぞれの選択肢にはメリットとデメリットが存在し、留意すべき点もある。以下に、それぞれについて詳細を解説する。

3-1. 外注した場合のメリットデメリット

外観パースの外注には明確なメリットとデメリットが存在し、それぞれを理解することが意思決定において重要である。

3-1-1. メリット

高品質な成果物

効率性と時間の節約

コストの最適化

高品質な成果物
外注により、専門的な技術と経験を持つプロフェッショナルの知識を活用できる。制作会社は最新のソフトウェアやレンダリング技術を駆使して、リアルで高品質なパースを提供することが可能であり、プロジェクトのビジュアル表現のレベルを向上させることができる。

効率性と時間の節約
内部リソースを他の重要な作業に割り当てられるため、全体的なプロジェクトの効率性が向上する。外注により、パース制作にかかる時間が節約され、プロジェクトの納期が短縮される。

コストの最適化
自社でパース制作に必要な高価なソフトウェアやハードウェアを購入し、スタッフをトレーニングするコストを節約できる。外注はプロジェクトベースでの支払いとなり、必要な時だけサービスを利用することで、コストを効率的に管理できる。

3-1-2. デメリット

コストの高さ

情報セキュリティへの懸念

コストの高さ
外注する際には、専門の制作会社に支払う費用が発生する。これらの費用はプロジェクトの規模や複雑さ、求められる品質によって大きく変動し、特に高品質のパースを求める場合、内製するよりも高額な初期コストがかかる。

情報セキュリティへの懸念
プロジェクトに関する詳細情報を外部に共有することは、情報漏洩のリスクを伴う。外注先が適切な情報セキュリティ対策を講じているかを確認する必要があり、これは特に機密性の高いプロジェクトにおいて重要な懸念事項となる。

外観パースを外注する際には、これらのメリットとデメリットを総合的に検討し、プロジェクトの要件や目標に最も合致した選択を行うことが重要である。

3-2. 内製する場合のメリットデメリット

外観パースを内製する場合のメリットとデメリットは、プロジェクトの管理やリソースの配分、長期的なスキルの構築に大きく関わる。以下に、内製の選択がもたらす主な利点と潜在的な課題を詳述する。

3-2-1. メリット

直接的なコントロール

スキルと知識の蓄積

長期的なコスト削減

直接的なコントロール
内製することで、パース制作の各段階において直接的なコントロールが可能となる。これにより、プロジェクトの要件や変更が発生した場合にも、迅速かつ柔軟に対応できる。

スキルと知識の蓄積
内製プロセスを通じて、チームはパース制作に関連するスキルと知識を内部に蓄積できる。これは、将来のプロジェクトでの効率性と品質の向上に寄与する。

長期的なコスト削減
初期の投資や学習曲線を乗り越えれば、長期的には外注に比べてコスト削減が可能となる場合がある。特に頻繁にパースを制作する必要がある場合、内製は経済的に合理的な選択肢となる。

3-2-2. デメリット

初期投資の必要性

リソースの分散

専門スキルの維持

初期投資の必要性
内製を開始するためには、適切なソフトウェアの購入やハードウェアのアップグレード、チームメンバーのトレーニングなど、初期投資が必要となる。

リソースの分散
パース制作に必要な時間と人的リソースを確保することが、他のプロジェクトや業務に影響を与える可能性がある。特に小規模なチームや多忙なスケジュールの中では、リソースの分散は大きな課題となる。

専門スキルの維持
技術の進歩に伴い、チームは継続的な学習とスキルアップデートが求められる。最新のトレンドやソフトウェアのアップデートに対応するためには、定期的なトレーニングや教育が不可欠である。

外観パースを内製するかどうかの判断にあたっては、これらのメリットとデメリットを総合的に評価し、プロジェクトの特性や組織の能力、将来的な目標を考慮することが重要である。適切な計画とリソース管理を行うことで、内製の利点を最大化し、潜在的な課題を軽減できる。

3-3. 内製する場合の制作ステップ

内製のプロセスは、以下のステップで行うとよい

① 3DCGのソフトを用意する
外観パース制作には、3Dモデリングとレンダリングが可能なソフトウェアが必要だ。3DCG統合ソフトのBlenderは、無料でありながら強力な機能を備え、初心者からプロフェッショナルまで幅広く利用されている。

② 学ぶ
次に、選択したソフトウェアについて徹底的に学習する必要がある。オンラインコース、チュートリアルビデオ、フォーラムの活用が有効である。実際に手を動かしながら、基本操作から応用テクニックまで段階を踏んで習得していくことが重要だ。

③ 書籍や資料を集める
「はじめての3Dモデリング Blender 3 超入門」や「作って学ぶ! Blender入門」など、初心者から上級者まで役立つ書籍が多数出版されている。また、インターネット上でも、学習材料やチュートリアルが豊富に公開されており、積極的に活用することがおすすめである。

内製には時間と努力が必要だが、長期的に見ればスキルの習得とコスト削減の両方を実現できる可能性がある。適切なリソースと学習意欲があれば、内製による外観パース制作は大きな価値をもたらすだろう。

4. 外観パースの費用と価格帯

外観パースの制作にかかる費用は、多くの要因によって左右される。この章では、制作費用の決定要因と市場の平均価格について解説する

4-1. 制作費用の決定要因3つ

外観パースの制作費用は、主に以下の3つの要因によって決定される。

① 建物の種類と規模
住宅・商業施設・オフィスビル・マンションなど
建物の種類によって対応する内容が変わってくるため、価格帯が異なるのが一般的。計画の規模や、形状が特殊な場合などが費用に影響を与える。

②アングル
その次に費用に影響する大きな要因は、視点(アングル)の種類である。CGパース制作のほとんどは人目線のアイレベルにて行われ、費用もその場合を想定して見込まれている。

しかし鳥瞰を希望する場合は注意が必要だ。上空から見下ろすかたちで視点を希望する場合は、さまざまな要因との関係性を表現したい場合がほとんであるだろう。当然制作もさまざまな要因に対して対応しなければならず、おのずと時間と費用を要することになる。

③カット数
そして最後は制作するパースのカット数である。当然カット数が増えればその分費用は追加となる。対象となる建物が同じで異なるアングルが必要な場合や、仕上げ材の異なるパターンの作成など、廉価に対応してもらえる場合もある。また、複数カットの依頼の際には1枚当たりの単価を割り引いてくれる制作会社もある。

4-2. 市場の平均価格

市場におけるCGパースの平均価格は、上記の要因に加え、制作会社の技術力によっても異なる。一般的な費用をまとめておく

高品質外観パース・・・150,000円~/1カット
簡易的な外観パース・・・25,000円~/1カット
大規模プロジェクト・・・200,000円~/1カット

上記の要因のとおり、種類や規模によって変動するので目安として示しておく。

5. 外観パースが得意な制作会社の選び方

CGパースの品質は、最終的なプレゼンテーションやプロジェクトの成功に大きく影響を及ぼす。そのため、優れた制作会社を選ぶことは非常に重要である。本章では、CGパース制作を得意とする制作会社を選ぶための具体的な方法と注意点について解説する。

5-1. 制作会社を選ぶ際のポイント5つ

CGパース制作会社を選ぶ際には、以下のポイントを考慮することが重要である。

① 品質の高さ:制作例で紹介される作品の質を見ることで、制作会社の技術力を把握できる。リアリズム、アーティスティックな表現、ディテールの表現など、求めるクオリティが満たされるか確認しよう。

② 多様性:異なるタイプのプロジェクト(例えば、住宅、オフィスビル、商業施設など)に対応した作品が制作例に含まれているかをチェックしよう。これは、制作会社が様々な要求やスタイルに柔軟に対応できる能力があることを示す。

③ 最新技術の使用:CGパースの品質は使用されるソフトウェアや技術に大きく依存する。制作会社が業界の最新技術を取り入れているかどうかは、より高品質な結果を得るための重要な指標である。

④ 専門知識:建築や不動産の基本的な知識があるかも確認すべきである。専門的な要求や細部に対する理解が、よりリアルで説得力のあるパースを制作する上で役立つ。

⑤ 要求の理解度:初期の問い合わせや打ち合わせで、制作会社がプロジェクトの目的や要望をどれだけ理解しているかを見極めよう。細かい要望にも耳を傾け、理解しようとする姿勢が重要である。

これらのポイントを踏まえ、候補となる制作会社を比較検討することで、プロジェクトの要求に最も適したパートナーを見つけることができるだろう。

5-2. 制作会社を選ぶ際の注意点4つ

ポイントだけでなく注意点もいくつかあるので見ていこう。

① 外観パースの制作事例を必ず確認する
3DCGの特性上、インテリアシーンは比較的簡単に綺麗なCGを描くことができる。一方外観パースは、CG以外の様々な要素の理解と知識・技術が要求される。インテリアパースの雰囲気がよかったから・・・という理由で制作会社を選んで失敗するケースは割とよく聞く。

② 過度な低価格のオファーには注意
極端に安い価格を提示する会社には注意が必要だ。低価格は魅力的に見えるが、それには品質と引き換えになっている場合がある。安価である理由を明確にし、品質に関して確認することが重要である。価格と品質のバランスをしっかりと見極めるべきである。

③ 修正ポリシーを確認
制作過程での修正は避けられない。そのため修正ポリシーを事前に確認しておく必要がある。修正の範囲、許容される修正回数、追加費用の有無など、明確な合意がトラブルを避ける上で非常に重要である。

④ 国内なのか海外なのか?制作会社の所在を確認しよう
数年前から海外のプロダクションがWebサイトを利用して、 CGパースの制作を受注し制作することが増えてきた。国内の制作会社よりコストを低くしてCGパースを制作できるため、活用機会はあるだろう。ここでの注意点は、どうしても制作担当するが海外の方であるため、細かい表現が日本人の感覚と異なることがある。配置する植物や小物など、制作者側に選択の判断が委ねられるところでよく見られるようだ。海外プロダクションに依頼の際は、事前にそのあたりの懸念を伝え、解決策の有無を確認しておこう。

6. どんなソフトを使うのか?

CGパース制作には映画やゲームの制作に用いられる3DCGソフトを利用する。
ソフトの種類には特定の機能のみに特化したタイプと、総合的にカバーしている統合型に分かれる。建築・インテリアの分野においては統合型が主流である。

具体的なソフトについての解説はこちらの記事を参考にしていただきたい。
>>【2021年】建築パース制作のプロが薦める3DCGソフト4選比較

7. 外観パース制作においてのよくある質問

外観パースの制作についての疑問は多岐にわたる。ここでは、特に頻繁に聞かれる質問に答えることで、読者の理解を深めることを目指す

外観パースの独学は可能か?

もちろん可能である。その際はWebサイト・動画サイトなどでの解説や、書籍が充実しているソフトを選ぶのがよい。情報の充実度やユーザー数は、習得難易度に直結する。

外観パース制作を最短で習得するための学習方法は?

とにかくまず題材を決めて制作し、評価して再度同じ題材で制作を行う。これが最短の道と考える。例えば、モデリングを学ぶ際は、ひとつの題材の建物を何度も繰り返して制作することで、モデリングの技術が驚くほど身に付くだろう。

3Dソフトを勉強して外観パースを作りたいと考えてます。できるようになるにはどのくらい時間がかかるでしょうか

個人差があり、求める品質によって変わる。一般的な住宅の外観程度であれば2~3か月もあれば作れるようになるだろう。

外観パースを外注する場合、制作期間はどのくらいかかりますか?

建物用途・規模・形状などによって大きく変わるので、計画している建物の概要資料と共に制作会社へ問い合わせることを勧める。

外観パース制作に使われる主なソフトウェアは何か?

高品質なアウトプットが可能なことから3dsMaxが多く利用される。最近はオープンソースのBlenderを始め、LumionやTwinmotionが注目を集めている。

8. まとめ

本記事では、外観パースの基礎からその重要性、作成方法、費用に至るまで幅広く解説してきた。

外観パースは、建物のプレゼンテーションにおいて不可欠なツールであり、クライアントや購入予定者への訴求力を高める効果がある。手書きからCGまで様々な技法が存在し、アングルや時間帯による表情の違いを表現することが可能である。

制作費用はプロジェクトの規模や要望の詳細によって大きく変動するため、事前の調査と計画が必要となり、適切な制作会社の選定は成果物の品質を決める重要なステップだ。また、制作を外注するか内製するかに関わらず、明確な目的と準備が成功するかどうかを分ける重要な要素である。

この記事が、外観パースの理解を深め、最適な制作パートナーを見つける包括的なガイドとなることを望む。

弊社外観パース制作事例も是非参考にしていただきたい。
>>株式会社モデルノ 外観パース_戸建住宅
>>株式会社モデルノ 外・内観パース_集合住宅

関連記事
>>【初心者向け】「CGパース」とは?その種類・制作方法や価格を解説
>>【初心者向け】「内観パース・インテリアパースとは」?その種類、作り方や利用方法を解説
>>【初心者向け】「鳥瞰パース」とは?その作り方と利用方法を解説

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