【Photoshop】昼→夕→雨→雪へとレタッチ【建築パース】

【Photoshop】昼→夕→雨→雪へとレタッチ【建築パース】

海外の建築サイトなどで、雨や雪の中でのパース表現を見たことがあるだろう。

通常外観パースは、晴れた日の昼間をベースにして照明やレンダリングの設定を行い制作される。
澄んだ空・青々とした緑に囲まれた建物は魅力的なものに映るだろう。

そのようなパースが溢れている中、より強い印象を与える為に、なにを行えばよいのか悩んだことがあると思う。

今回の記事では
夕景のパースをベースに、雨や雪の降っている情景へレタッチしていくテクニックを解説していく。
他ではなかなか見当たらないPhotoshopでのレタッチ方法を解説しているので、実践して役立てていただきたい。

多様な表現方法をお探しの方には是非参考にしてほしい。

【この記事の要約:30秒でわかる結論】

  • 結論:昼間の外観パースをPhotoshopでレタッチし、夕景、雨、雪の情景へ変えられる。ベースの絵は同じまま、印象を大きく変えられる。
  • 独自の視点:夜景は暗くなりすぎて細部が見えなくなるため、特別な理由がなければ夕方程度を目安にする。夕景は昼間のPSDの色調補正を調整して作る。
  • 読後の結果:夕景・雨・雪のレタッチ手順が分かり、同じパースから別の情景を作れる。

▼併せて読みたい レタッチ方法その他の記事▼
>> 【建築パース】プロが徹底解説 切り抜き人物・CG素材とその合成方法

昼間の外観CGパース。黒いスレート葺きの切妻2棟に木の垂木を並べた深い軒、大開口越しにレンガ壁のダイニング、手前の芝地を木箱を提げた男性と鹿が歩く
以前の記事でレタッチ方法を解説した昼間の外観パース
夕景レタッチの完成イメージ。暗い雲の空に渡り鳥の群れ、室内照明が漏れる大開口、木箱を提げた男性と鹿、レンガ壁と黒いスレート外壁の住宅
今回解説する夕景パース最終レタッチ結果
目次

1. 夕景パースにPhotoshop(フォトショップ)でレタッチ

樹木・植栽レタッチの解説記事で利用した、昼間の外部シーンを流用して夕景パースを作成していく。日が落ちた時間帯のシーンは、夕景を選択することが多い。夜景では暗くなりすぎて、細かい部分が見えなくなってしまうからだ。特別な理由がない限りは、夕方程度を目安に制作していくとよい。

1-1. ベースとなるパースを用意

夕景レタッチの出発点となるベースレンダリング。背景が真っ黒で空も山もなく、室内ライトだけが灯ってレンガ壁と木ルーバーを照らしている

スタートなる夕景のベースパースはこの程度の仕上がりである。
昼間のパースは、HDRIによる環境光+太陽光を利用してレンダリングを行っている。夕景や夜景の場合は、そのHDRI環境光を弱め太陽光を削除し、室内ライトをいくつか設定してレンダリングを行うパターンが多い。

1-2. 明るさと彩度を調整

以後の説明は昼間のシーン時に作成したPDSファイルを利用して行う。レイヤー構造などの説明は省くので、まだ読んでない方はそちらを確認してから進んでいただくことをお勧めする。

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1-2-1. 背景を調整

背景を夕景に調整した状態。灰青のくすんだ空と暗く落とした山並みが入り、建物は室内照明だけが明るく残る

まずは昼間のパースで作成した背景を夕景状態にすることから始める。
基本的に行うのは「明るさ・コントラスト」と「色相・彩度」で調整するだけである。

Photoshopのレイヤーパネル。背景グループ内でH1034・H1037・P0054の各背景素材にクリッピングした「色相・彩度4/明るさ・コントラスト4」「色相・彩度5/明るさ・コントラスト8/明るさ・コントラスト5」「色相・彩度3/明るさ・コントラスト3」を赤枠で示す

背景を構成している3つのレイヤーにはそれぞれクリッピングマスクを利用して色調補正レイヤーが割り当てられている。それらのパラメーターを再度調整していくだけで夕景への変更が可能だ。それぞれの数値を記載しておく。
<P0054>
「明るさ・コントラスト」 明るさ:-100・コントラスト:-30 従来方式を使用オン
「色相・彩度」 色相:0 彩度:-75 明度:0
<H1037>
「明るさ・コントラスト」 明るさ:-150・コントラスト:100
「明るさ・コントラスト」 明るさ:-100・コントラスト:0 (上の効果では足りなかったので追加)
「色相・彩度」 色相:0 彩度:-65 明度:0
<H1034>
「明るさ・コントラスト」 明るさ:-100・コントラスト:-50 従来方式を使用オン
「色相・彩度」 色相:0 彩度:-65 明度:0

夕景用に追加する空の素材写真2点を左右に並べた比較。左は市街地の上に垂れ込める暗い積乱雲、右は薄明るい空に暗い雲がたなびく夕方の空

夕方の空は、まだ明るく雲自体が暗くなる特徴がある。上の空画像を追加配置する。左画像・右画像

Photoshopのレイヤーパネル。背景グループに追加した空素材pexels-stijn-dijkstra-2499788と pexels-tom-fisk-1689646、色相・彩度8と明るさ・コントラスト15が黄色い矢印で示されている

左画像(pexels-tom-fisk-1689646)は、画像を左右で反転し、明るさ・コントラスト(-40:+20 従来方式を使用オン)を「覆い焼きカラー」不透明度50%で、右画像(pexels-stijn-dijkstra-2499788)も画像を左右反転し、色相・彩度((彩度のみ-20)を乗算50%でブレンドしている。

1-2-2. 地面を調整

地面を夕景に調整した状態。黄色い矢印が手前左の芝地と中央の土のアプローチを指し、暗く彩度を落とした地面と明るい室内の対比ができている

同じような対応を地面に対しても行う。
<左下>
「明るさ・コントラスト」 明るさ:-100・コントラスト:-40 従来方式を使用オン
「色相・彩度」 色相:+25彩度:-55 明度:0
「カラーバランス」 -15・-10・0

<右下・左>
「明るさ・コントラスト」 明るさ:-100・コントラスト:-30 従来方式を使用オン
「色相・彩度」 色相:+10彩度:-80 明度:0

「明るさ・コントラスト」 明るさ:5・コントラスト:25 従来方式を使用オン

1-2-3. 樹木・低木を調整

Photoshopのレイヤーパネル。赤枠の「低木」グループに明るさ・コントラスト2と色相・彩度2、「樹木」グループに色相・彩度1と明るさ・コントラスト1、内部にgrass・bush・calamagrostis・タケ・トネリコと影のレイヤーが並ぶ

植栽・低木にも同様に対応を行う。影の不透明度は40%程度に変更。
「明るさ・コントラスト」 明るさ:-40・コントラスト:20 従来方式を使用オン
「色相・彩度」 色相:0彩度:-80 明度:0

同じパラメーター設定でOK。
人物についても同様の対応なので、各自行ってみよう。

1-3. その他の演出を追加する

室内光の回り込みを描く手順。新規レイヤーにソフト円ブラシの白で塗った大きなにじみが窓下の芝地と樹木の幹に置かれ、黄色い矢印が光の当たる位置を指す

窓から室内の光が周辺に及ぼすライティングを擬似的に加えていく。

新規レイヤーにソフト円ブラシ:白で光が当たってくるであろう箇所をイメージして描く。その後、オーバーレイでブレンドすると室内のライトの影響で明るくなっている表現が描写できる。バランスを見ながら、影響が強く出てしまったら不透明度で薄く、弱い場合はそのレイヤーを複製して調整しよう。

擬似的にハイライトやシャドーを追加する方法はこちらの記事でも解説している。参考にしていただきたい。
>>【建築パース】簡単雰囲気アップ!レタッチテクニック【初心者向け】

建物と背景の間に入れる霞の範囲。屋根の稜線に沿って点線の選択範囲が引かれ、黄色い下向き矢印が霞をのせる帯を指している

建物と背景の間に霞がかった演出を表現する。ソフト円ブラシで描きオーバーレイ・50%でブレンドする。

Photoshopのレイヤーメニューを開き「マッティング」から「フリンジ削除」を選ぶ操作。上下に切り抜き素材の鳥の群れを並べ、境界線が目立つ状態と修正後を比較している

最後に、渡り鳥らしき素材を合成する。Mr.cutoutの素材を使わせていただく。「Cut out Bird 0075」
そのままの画像では境界線が目立ってしまうので、レイヤ>マッティング>フリンジ削除を行い修正しておく。

夕景レタッチの完成パース。暗い雲の空に渡り鳥、窓から漏れる室内光、霞んだ山並みを背にした黒いスレート外壁の住宅と芝地を歩く男性と鹿

以上で、夕景のレタッチは終了である。


2. 雨模様の情景パースにPhotoshop(フォトショップ)レタッチ

先ほど作成した夕景パースを利用して、雨を降らした情景をレタッチしていく。

2-1. 人物を変更

人物を差し替えた夕景パース。木箱の男性と鹿に代えて、コート姿で傘を持つ女性と白い犬が土のアプローチに立っている

今回もMrCutoutよりデータを利用させていただいている。人物・犬

人物のデータや合成についてはこちらの記事に詳しく解説しているので参考にしていただきたい。
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>>【建築パース】プロが徹底解説 切り抜き人物・CG素材とその合成方法

2-2. パースに雨を降らせる

Photoshopのレイヤーパネル。雨グループの中に黒く塗りつぶした「レイヤー 58」を最上位に追加した状態で、描画モードは通常・不透明度100%

一番上に黒で塗りつぶしたレイヤーを追加する。

Photoshopの「ファイバー」フィルター設定。変化50・強さ10でプレビューに白黒の繊維状ノイズが生成され、右のレイヤーパネルでは雨グループの黒い「レイヤー 49」が選択されている

そのレイヤーに[フィルタ]>[描画]>[ファイバー]を適用。変化を50、強さを10に設定する。描画色は白・黒にしておくこと。

Photoshopの「ぼかし(移動)」設定。角度-80°・距離60pixelで、ファイバーが斜めに流れる雨の筋になり、背景の建物に細い雨が重なって見える

描画モードを「覆い焼き(リニア)-加算」にして、不透明度を15%に設定。
斜めに落ちる雨をイメージして、[フィルター]>[ぼかし]>[ぼかし(移動)]を選択。角度-80°・距離60pixleを適用。

アクセント用の雨を作る下描き。夕景パースの上に太さの違う白い縦のラインを何本か引いたレイヤーを重ねた状態

描いた雨と少し異なりアクセントとなる雨を追加する。
上画像のようなラインを描いたレイヤーを用意し、[フィルター]>[ぼかし]>[ぼかし(移動)]を選択。

Photoshopの「ぼかし(移動)」設定。角度-80°・距離400pixelを指定し、黄色い矢印が距離の数値を指している

角度を以前の雨と同じ-80°に、距離を600〜1000pixle等にすると真ん中が抜けた、上画像のような状態になるので適用。
そのままだと不自然なのでソフト円ブラシの消しゴムで適当に消してバランスを調整して雨は終了

雨のレタッチが終わった状態。斜めに流れる細い雨と太い雨筋が重なり、傘をさす女性と犬、窓から漏れる室内光が雨越しに見える

2-3. 細かい効果を追加

市街地であれば、雨が降って濡れたアスファルトに反射を表現して雰囲気を出せるのだが今回は難しい。
まずは傘に雨が当たって跳ね返っている描写をブラシを使って表現していく。

「水しぶき ブラシ」等で検索すれば無料で提供してくれているサイトが見つかる。
ダウンロードしたものをPhotoshopのブラシウィンドウの歯車マークより読み込んで描いていく。

Photoshopのブラシパネル。直径172pxで、歯車メニューを開き「ブラシを読み込む…」が選択されている。汎用ブラシのソフト円・ハード円と筆圧サイズ・筆圧不透明度が並ぶ
傘の周りに水しぶきを描いた拡大。黒い傘の上で白い粒が跳ね、コート姿の女性と白い犬、背後の木ルーバーと石積み壁に雨が流れる

白で描いて不透明度で調整する。簡単に表現できただろう。
次に、窓ガラスに発生している結露の表現を行っていく。

Photoshopの「ぼかし(ガウス)」設定。半径8.0pixelを指定し、複製した窓ガラスのレイヤーがぼけて曇りガラスのようになっている

窓ガラスの選択範囲をベースパースから複製し、グループを作成し名前を「ガラス_結露」にする。(上画像参照)
もう一枚レイヤーを複製して、そこにぼかし(ガウス)を適用し上画像のような曇りガラスの雰囲気を描く。

Photoshopのレイヤーパネル。「ガラス_結露」グループにレイヤーマスクを追加し、黒でラインを描いて曇り越しに室内が見える表現をつくった状態

レイヤーマスクを追加。そこに黒色で適当にラインを描いて曇り越しに室内が見える表現を行う。
ブラシの半径を変更して3種類程度の線で描いていくと自然な感じになるだろう。

Photoshopの「波形」フィルター設定。波数1、波長5〜300、振幅10〜50、比率は水平5%・垂直1%、種類は正弦波、未定義領域はラップアラウンド

そのレイヤーマスクに対して[フィルター]>[変形]>[波形]を選択。若干ジグザグに形が変わるよう数値を調整。
滴りながら落ちていく様を表現できただろう。

水滴を加える前のガラス面。曇り越しに垂れる筋だけが入って窓が暗く沈み、傘の女性と犬が雨のなかに立つ

最後にガラス面に水滴を追加する。
「textures.com」より水滴のHeightマップを利用する。

ガラス面に水滴を加えた状態。窓一面に細かい粒と流れ落ちる筋が乗り、室内のオレンジ色の光が透けて見える

この水滴レイヤーを覆い焼きカラーで描画して完成。

雨のレタッチが完成したパース。斜めの雨と濡れた地面、結露と水滴で覆われた窓、傘をさす女性と白い犬

雪の降る情景パースにPhotoshop(フォトショップ)レタッチ

先ほど作成した雨が降ってるパースを利用して雪の降る情景をレタッチで作成していく。


雪のレタッチの出発点。雨の効果を取り除きガラスの結露だけを残した状態で、暗い曇り空と室内の暖かい光が残っている

雨の効果等を取り除いた状態の画像からスタートする。雪の降る時にもガラス面の結露は発生するので残しておく。
一番上にレイヤーを追加して、[選択範囲]>[色域指定]を選択。スポイトで適当な位置をクリックしてOKボタンを押すと選択範囲が作成されるので、白で塗りつぶしを行う。

Photoshopの「色域指定」ダイアログ。許容量80、選択範囲のプレビューはクイックマスクで、選択された部分が画面上で赤く表示されている
色域指定の選択範囲を白で塗りつぶした状態。屋根・外壁・樹木・地面が真っ白になり、窓の内側だけがオレンジ色に残る

② : 箇所箇所で雪の具合を調整

この白で塗りつぶしたレイヤーを複製したり、スクリーンや覆い焼きカラーで重ねたりバランスを見ながら雪が積もってきている情景を作成していく。

手前の地面と背景に雪をのせた状態。白く積もった雪面に足跡の素材を合成し、建物と樹木はまだ暗いまま
手前地面と背景にのせて調整。足跡の画像素材を探し出して合成を行った
建物と植栽にも雪をのせた状態。屋根の垂木と外壁、瓦屋根がうっすら白くなり、地面の雪と明るさがそろってきている
建物・植栽部にも調整してのせていく

③ : 人物を変更して効果を追加

今回もMRCUTOUT.COMさんから拝借して配置。
霧の雰囲気を追加するためにソフト円ブラシで下画像のように白で描画。モードは通常で不透明度を30%に調整。

人物を差し替え、霧の雰囲気を加えた状態。ソフト円ブラシの白を不透明度30%でのせて画面上半分と右手が白く霞み、青いリュックの人物が歩く

④ : 全体に雪が降る効果を追加

無料のブラシを利用して雪を描いく。一気に雰囲気が出てくる。
https://www.brusheezy.com/brushes/57761-free-snow-photoshop-brushes-2
小さめの雪と大きめのもの2種類を白色で描いて不透明度で調整

無料の雪ブラシで降雪を描き加えた状態。大小2種類の白い雪粒が画面全体に散り、雪原と樹氷の背景に人物のシルエットが立つ

最後にカラールックアップより「Crisp_Winter.look」を30%、青色で塗りつぶしたレイヤーをオーバーレイ15%でのせて完成。

雪のレタッチが完成したパース。カラールックアップと青の塗りつぶしで全体が青みがかり、降る雪と積もった雪面、窓から漏れる暖かい光が対比する

Photoshop(フォトショップ)レタッチテクニックまとめ

以上が昼→夕→雨→雪へと建築パースをレタッチするテクニックの紹介になる。

ベースパースのクオリティも大事だが、Photoshopで行うレタッチによって見違えるほど綺麗に表現することも可能。おそらく3DCGを習得するよりも容易かと思う。

いずれにせよ、美しいものを見て触れる機会を増やすことがパース表現には必要不可欠なので、日々意識することがとても大事である。



▼その他のレタッチテクニックはこちらの記事にて▼
>> [必見] 建築CGの描き方・レッタッチテクニックまとめ [徹底解説]

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