

これから勉強しようと思っている方
「夕景・夜景ってどうやって描くんだろう」
「いちから作るのは面倒だから昼間のデータ利用できないかな」
「レタッチは苦手・・・」
そんなことを考え悩んでいる方に向けた記事になる
今回ご紹介する内容は
海外の建築サイトなどで、雨や雪の中でのパース表現を見たことがあるだろう。
通常外観パースは、晴れた日の昼間をベースにして照明やレンダリングの設定を行い制作される。
澄んだ空・青々とした緑に囲まれた建物は魅力的なものに映るだろう。
そのようなパースが溢れている中、より強い印象を与えるにはなにを行えばよいのか悩んだことがあると思う。
今回の記事では
夕景のパースをベースに、雨や雪の降っている情景へレタッチしていくテクニックを解説していく。
書籍や建築パースブログサイトでは見当たらない貴重な内容となっているので、是非理解して役立てていただきたい。
Photoshopでの作業を中心に行うので、基本的な操作の理解は必須である。
▼合わせて読みたい レタッチ方法その他の記事▼
>> 【建築パース】プロが徹底解説 切り抜き人物・CG素材とその合成方法


夕景パースにレタッチ
① : ベースパースを用意する

用意する夕景用のベースパースのレンダリング画像はこの程度の仕上がりである。
昼間のものに比べて、HDRIによる環境光+太陽光の強さを弱め室内にライトを点灯してレンダリングしている。
② : 明るさと彩度を調整


まずは昼間のパースで作成した背景を夕景状態にすることから始める。
基本的に行うのは「明るさ・コントラスト」と「色相・彩度」のみで調整するだけである。
(上部下段画像参考)
レイヤー構造としては、色調補正を適用したいレイヤーをグループに入れ<グループA>(画像左)
その親に調整レイヤーをクリップ付き(下のレイヤーやグループにのみ効果が反映)で配置している。<グループB>
夕方の空は、まだ明るく雲自体が暗くなる特徴があるので、昼間のシーンで利用した空+背景画像を
「明るさ・コントラスト」で-130・30、「色相・彩度」の彩度を-40で暗めに調整した上で
下の画像をレイヤー上、上に「乗算100%」で追加配置した。


同じような対応(「明るさ・コントラスト」+「色彩・彩度」による調整)を地面に対しても行う。
ひたすら同様の処理を、バランスを見ながら行っていく。

植栽まで完了した状態。だいぶ夕景の雰囲気が出てきている。
③ : その他の演出を追加する


ここで、窓ガラスから室内の光が周辺に及ぼすライティングを擬似的に加えていく。
ソフト円ブラシ・白で光が当たってくるであろう箇所をイメージして描く。
その後、オーバーレイ100%で描画すると室内のライトの影響で明るくなっている状態が描写できる。
人物にも同様の処理を行う。
擬似的にハイライトやシャドーを追加する方法はこちらの記事でも解説している。併せて確認していただきたい。
>>【建築パース】簡単雰囲気アップ!レタッチテクニック【初心者向け】

演出で渡り鳥らしき素材(MRCUTOUT.COMより)を合成。
最後に建物と背景の間に霞がかった演出を表現する。ソフト円ブラシで描いてオーバーレイ・50%描画で完成。

雨模様の情景パースにレタッチ
先ほど作成した夕景パースを利用して、雨を降らした情景をレタッチしていく。
① : 人物を<傘を持って歩いている人>に変更

今回もMRCUTOUT.COMさんよりデータを利用させていただいている。
人物のデータや合成についてはこちらの記事に詳しく解説しているので確認していない方は読んでおくことをすすめる。
▼合わせて読みたい 人物合成記事▼
>>【建築パース】プロが徹底解説 切り抜き人物・CG素材とその合成方法
② : パースに雨を降らせる

一番上に黒で塗りつぶしたレイヤーを追加する。

そのレイヤーに[フィルタ]>[描画]>[ファイバー]を適用。変化を50、強さを10に設定する。

描画モードを「比較(明)」にして、不透明度を20%に設定。
斜めに落ちる雨をイメージして、[フィルター]>[ぼかし]>[ぼかし(移動)]を選択。角度-80°・距離60pixleを適用。

描いた雨と少し異なりアクセントとなる雨を追加する。
上画像のようなラインを描いたレイヤーを用意し、[フィルター]>[ぼかし]>[ぼかし(移動)]を選択。

角度を以前の雨と同じ-80°に、距離を600〜1000pixle等にすると真ん中が抜けた、上画像のような状態になるので適用。
その後、描画モードをオーバーレイにして不透明度80%に設定。
そのままだと不自然なのでソフト円ブラシの消しゴムで適当に消してバランスを調整して雨は終了。

③ : 細かい効果を追加
市街地であれば、雨が降って濡れたアスファルトに反射を表現して雰囲気を出せるのだが今回は難しい。
まずは傘に雨が当たって跳ね返っている描写をブラシを使って表現していく。
「水しぶき ブラシ」等で検索すれば無料で提供してくれているサイトが見つかる。
ダウンロードしたものをPhotoshopのブラシウィンドウの歯車マークより読み込んで描いていく。


白で描いて不透明度で調整する。簡単に表現できただろう。
次に、窓ガラスに発生している結露の表現を行っていく。

窓ガラスの選択範囲をベースパースから複製し、グループを作成し名前を「ガラス_結露」にする。(上画像参照)
もう一枚レイヤーを複製して、そこにぼかし(ガウス)を適用し上画像のような曇りガラスの雰囲気を描く。

レイヤーマスクを追加。そこに黒色で適当にラインを描いて曇り越しに室内が見える表現を行う。
ブラシの半径を変更して3種類程度の線で描いていくと自然な感じになるだろう。

そのレイヤーマスクに対して[フィルター]>[変形]>[波形]を選択。若干ジグザグに形が変わるよう数値を調整。
滴りながら落ちていく様を表現できただろう。

最後にガラス面に水滴を追加する。
「textures.com」さんより水滴のHeightマップをダウンロードさせて。

この水滴レイヤーを覆い焼きカラーで描画して完成です。

雪の降る情景パースにレタッチ
先ほど作成した雨が降ってるパースを利用して雪の降る情景をレタッチで作成していく。

雨の効果等を取り除いた状態の画像からスタートする。雪の降る時にもガラス面の結露は発生するので残しておく。
一番上にレイヤーを追加して、[選択範囲]>[色域指定]を選択。スポイトで適当な位置をクリックしてOKボタンを押すと選択範囲が作成されるので、白で塗りつぶしを行う。


② : 箇所箇所で雪の具合を調整
この白で塗りつぶしたレイヤーを複製したり、スクリーンや覆い焼きカラーで重ねたりバランスを見ながら雪が積もってきている情景を作成していく。


③ : 人物を変更して効果を追加
今回もMRCUTOUT.COMさんから拝借して配置。
霧の雰囲気を追加するためにソフト円ブラシで下画像のように白で描画。モードは通常で不透明度を30%に調整。

④ : 全体に雪が降る効果を追加
無料のブラシを利用して雪を描いく。一気に雰囲気が出てくる。
https://www.brusheezy.com/brushes/57761-free-snow-photoshop-brushes-2
小さめの雪と大きめのもの2種類を白色で描いて不透明度で調整

最後にカラールックアップより「Crisp_Winter.look」を30%、青色で塗りつぶしたレイヤーをオーバーレイ15%でのせて完成。

情景パースレタッチテクニックまとめ
以上が昼→夕→雨→雪へと建築パースをレタッチするテクニックの紹介になる。
ベースパースのクオリティも大事だが、Photoshopで行うレタッチによって見違えるほど綺麗に表現することも可能。おそらく3DCGを習得するよりも容易かと思う。
いずれにせよ、美しいものを見て触れる機会を増やすことがパース表現には必要不可欠なので、日々意識することがとても大事である。
▼その他のレタッチテクニックはこちらの記事にて▼
>> [必見] 建築CGの描き方・レッタッチテクニックまとめ [徹底解説]
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