【時短】人物・背景樹木を切り抜き【Photoshopで建築パース】

【時短】人物・背景樹木を切り抜き【Photoshopで建築パース】

民族衣装をまとった人物表現や、その土地特有の植栽・背景合成が必要な時がたまにある。
イスラム地域でのコンペCG、南国地や日本特有の樹木など、素材サイトでは数が少なく自作する必要が出てくる。

フリー素材や撮影写真から切り抜けばよいのだが、「パスを取って~」となると面倒で時間のかかる作業である。

今回は、筆者を含め面倒くさがりな読者に向けて、数クリックで目的としているものが切り抜ける方法を紹介する。

こちらを試し、うまくできない場合は細かくパスを取っていかなければならない。
しかし、建築CGにおいて人物や植栽は主役ではない。最小限にとどめ、他の部分のクオリティアップに時間は割くべきだ。

【この記事の要約:30秒でわかる結論】

  • 結論:CGパース制作での切り抜き(カットアウト)は、対象物を正確に分離して背景と調和させるための基本技術であり、視認性と完成度を維持する上で欠かせない工程である。簡易手法でも選択範囲の正確さを担保しつつ、エッジ制御・階調保持・形状整合の判断基準を満たすことで、実務レベルの切り抜きが成立する。
  • 独自の視点: 切り抜きは単なる選択と削除ではなく、空間情報の整合性と視認性を成立させる設計行為だ。プロは形状の輪郭・陰影・背景との関係を考慮し、選択範囲・マスク・フェザーの適用を目的基準として使い分ける。こうした制御設計の視点が、単に対象を切り離すだけの画像と情報が誤解なく伝わる成果物の差を生む。
  • 読後の結果:読者は切り抜きで扱う主要な制御要素と判断基準を把握し、用途に応じた空間情報の整合性を維持する切り抜き手順を整理できるようになる。
目次

1. 素材切り抜き 背景樹木編

建物を作ってレンダリングを行いレタッチする過程で、背景写真を合成する必要が出てくるだろう。
以前の解説記事「【建築パース素材】プロが徹底解説 切り抜き樹木・植栽とその合成方法」こちらでもその過程を紹介している。

黒い板張りの切妻屋根の住宅を描いた外観CGと、背景合成に使う3点の素材写真。赤丸Ⓐは空と一体の山の写真、Ⓑは切り抜き済みの樹木列、Ⓒは切り抜き済みの針葉樹

右側の3枚の画像を背景として利用して合成していった。ⒷとⒸは背景が切り取られ透明(白バック)となっているので問題ないが、Ⓐは空と一体の画像なので、新規の空画像を合成することは不可である。そこでこのⒶ画像の空を簡単に切り取る方法を紹介する。

1-1. 素材をダウンロード

今回も素材はsozaiya.comより利用している。こちらのリンクよりダウンロード可能だ。「P0054.jpg」
樹木だけでなく、植栽や空など建築CG制作に必要不可欠な素材が無料で利用できるので是非活用して欲しい。

1-2. 簡単に切り抜き

Photoshopで山の写真を開いた画面。黄色の矢印がレイヤーパネルの「背景」レイヤーと、その右端のカギ(ロック)アイコンを指し、背景解除の手順を示す

Photoshopで開いたら、レイヤー右のカギマークをクリックして背景を解除する。その後レイヤー名(レイヤー0)の右側をダブルクリックすると下画像のようなウィンドウ(レイヤースタイル)が表示される。

Photoshopのレイヤースタイルダイアログ。左に効果一覧、中央の「高度な合成」の下、赤枠で囲われた「ブレンド条件:グレー」とこのレイヤー0〜255・下になっているレイヤー0〜255のスライダー
レイヤースタイルの赤枠内でブレンド条件を「ブルー」、このレイヤーの上限を189に下げた状態。黄色の矢印が示すとおり画像上部の空が透明(市松模様)に抜けている

赤枠で囲った「ブレンド条件」タブをブルーにして、上段のスライダーを調整していくと空が消えていき、目的通りの切り抜きが出来た。レイヤーのサムネイルでは切り抜かれた状態になっていないが、この画像をコピー&ペーストしていただければ、空が切り抜かれた状態で反映される。

1-3. 微調整

上記対応で不具合が起こる場合の解説をしていく。問題がなかった場合は読み飛ばして大丈夫だ。

ブレンド条件ブルーをこのレイヤー0〜119にした状態。空は抜けたが、黄色の矢印が指す手前の草むらの白い花まで透明になってしまっている

上記対応をしていると、たまに意図しない箇所も切り抜かれてしまう場合がある。この方法ではレイヤーにマスクが追加されるわけではないので修正ができない。まずはレイヤーマスクを設置して、調整可能な状態にしていく。

Photoshopの「色域指定」ダイアログ。選択は指定色域、許容量(F)は200、右のプラスのスポイトを黄色矢印で指す。プレビューには空が黒・山が白のマスク画像が表示されている

この状態では、レイヤーサムネイルをCommand押しながらクリックしても選択範囲が表示されないので色域指定を利用する。
上部メニュー「選択範囲」>「色域指定」を選択

ウィンドウが表示されるので、許容量(F)を200にし、右側にあるプラスのスポイトで画像上の適当な部分をクリックしていくとマスク画像が生成されていく。OKを押すと選択範囲が表示される。

レイヤーにマスクが追加された状態のレイヤーパネルと、レイヤースタイルのブレンド条件ブルーをこのレイヤー0〜255の初期位置へ戻す操作。黄色矢印がパネル下部のマスクアイコンとスライダーを指す

レイヤーウィンドウ下部のマスクアイコンをクリックするとレイヤーにマスクが反映される。これで切り抜きの設定がされるので、レイヤースタイルで行った効果を取り消していく。レイヤー名右端のアイコンをダブルクリックでウィンドウを表示させ、ブレンド条件のブルーを元の位置にすれば解除になる。

草むらを拡大した画面。左のツールバーでブラシツールと描画色の白を黄色矢印で示し、レイヤーマスクを白で塗って意図せず透明になった部分を戻す手順

レイヤーマスクを選択した状態で、ブラシツール(描画色:白)で意図せず透明になってしまった箇所を塗っていくことで解決する。

2. 素材切り抜き 人物編

スケール感や賑やかさを表現するには人物合成が欠かせない。基本はこちらの記事で紹介しているサイトの素材を利用するのがよいが、特殊な衣装を着ている人物や、よりスタイリッシュな雰囲気の素材が必要になる場合がある。写真からの切り抜きはとても面倒ではあるが、こちらで紹介する方法ならすぐにできる。活用していただきたい。

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>>【建築パース素材】プロが徹底解説 切り抜き人物素材とその合成方法

2-1. 素材をダウンロード

夕暮れの砂浜を歩く金髪ロングヘアの女性の後ろ姿。濃紺のロングワンピース、沖に小舟。切り抜き練習用の素材写真

Pexelsよりこちらの写真を利用させていただく。写真素材ダウンロードページ

2-2. 簡単に切り抜き

Photoshopで人物写真を開き、左ツールバーのクイック選択ツールと、上部オプションバーの赤枠「被写体を選択」ボタンを黄色矢印で示した画面

Photoshopで開いたら、左メニューより「クイック選択ツール」を選び、上部に表示される「被写体を選択」ボタンをクリック。一発でこの人物のシルエットが選択される。

「被写体を選択」でマスクを適用し、黒背景に人物だけが切り抜かれた状態。黄色矢印が右足元に残った余計な選択部分と、レイヤーパネル下部のマスクアイコンを指す

その状態でマスクアイコンクリックで切り抜きが行われる。万能ではないので、右足下に余計なものも選択されている。レイヤーマスクを利用して黒で塗りつぶして選択を解除しよう。簡単切り抜きは以上である。

2-3. 微調整

人物切り抜き最大のポイントは髪の毛である。建築CGではそこまで細かい切り抜き結果は必要とされないが、あまりにも不自然では問題だ。上で切り取った状態でもよいのだが、ちょっとした対応でよりよくなるのでその方法も紹介しておこう。

レイヤーパネルの拡大。レイヤー0のレイヤーマスクのサムネイルに赤い×印が付き、マスクを一時的に無効化した表示状態を示す

レイヤーマスクのサムネイルをalt(Macではoption)を押しながらクリックすると、白黒のマスク画像が表示される。Shiftを押しながらクリックするとマスクが適用されていない状態が表示される。これらを利用し、都度確認しながら進行していく。

髪の毛の境界を拡大し、ブラシツールをモード:オーバーレイ、不透明度30%、サイズ203で使う設定。黄色矢印がツールバーのブラシとオプションバーのモード・不透明度、レイヤーマスクを指す

レイヤーマスクを選択して、ブラシツール・モード:オーバーレイ・不透明度:30%程度・描画色:白で髪の毛の境界をクリックしていく。選択されず消えていた細い毛がだんだんとあらわれてくる。やりすぎた場合は描画色を黒にしてクリックすると消えていく。

髪の毛の切り抜き結果の比較。左は細い毛先が消えた状態、右はオーバーレイのブラシで塗り戻して毛束が復元された状態

若干ではあるが、消えていた部分があらわれてきている。建築CGではこの程度で問題ないだろう。

3. Photoshop切り抜き まとめ

以上が今回紹介するPhotoshopでの切り抜き時短方法である。

切り抜きといったら手動でクリックしていくイメージだが、機能の進化でだいぶ簡略化されてきている。
もちろん細かいところは手作業による調整は必要だが、建築CG制作において脇役程度の利用であれば十分すぎる性能だろう。

よりクオリティの高いものを求めるのであれば、撮影の段階から合成を見据えた対応が必要となる。
特に樹木がその典型だろう。今回紹介した同様の対応である程度のレベルの切り抜きは可能だが、元画像の質によってばらつきが大きい。特別な理由がない限り配布素材を利用するのが無難だ。

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