【建築パース】レベルの高い水面の描き方を解説【3DCG】

【建築パース】レベルの高い水面の描き方を解説【3DCG】

3DCGで水面のマテリアルを設定しているが、リアリティが足りないなと悩んではいないだろうか。

ここの設定をいじれば出来るのだろうけど、難しそうだし、レンダリングに時間かかるからやめておこう・・・・
と考え、避けている人も多いことだろう。

今回紹介する物理現象「コースティクス」を理解し実践すれば、だれでもリアルな水面を描くことができるはずだ。
いままで感じていた物足りなさも、リアリティの欠如も解決してくれる。

その過程を、自然現象の理解から始め、3DCGとレタッチでの対応に分けて解説していく。

読み終えていただければ
いままで難しいと思われていた水面の表現が、容易に実現出来ることを理解していただけると思う。

【この記事の要約:30秒でわかる結論】

  • 結論:水面は、集光模様(コースティクス)を加えるとリアルになる。方法は擬似コースティクス、レタッチでの合成、レンダラーでの表現の3通りで、効果が大きい方法ほどレンダリング時間が長い。
  • 独自の視点:集光模様は水面ではなく水底にできる現象と押さえ、人の目線の高さで水深が浅い場合は効果が見えにくいため、その場合は合成で補うと判断している。
  • 読後の結果:コースティクスの仕組みと3つの表現方法の違い、使い分けの目安が分かる。
目次

1. コースティクスを理解しよう

白い机に置かれた水入りのグラス。逆光で伸びた影の中に、グラスのカーブで集められた光の筋(コースティクス)と虹色の分光が現れている

光がガラスの曲面で、鋭く反射、屈折してレンズのように集められ、光の模様ができる現象を集光模様(コースティクス)と呼ぶ。
文章で理解しようとすると難しいが、上の画像を見ていただければなんとなく把握してもらえるだろう。

浅い海の水面を真上から見た写真。波紋がレンズになって海底に網目状の白い集光模様を描いている。模様は水面ではなく底面にできている

水面では、太陽の光を受けた波紋が川底に屈折することで曲線模様が描かれる。つまり、上画像のような集光模様は水面にできてるわけではなく、水底の方にできるのである。

すなわち上写真のように、水面を見下げるようなアングルの場合はこの模様が見えやすく、一般的な人目線で見る場合はあまりその発生を認識しづらいのである。

難しい話はここまでにして、実際に「C4D+CoronaRender」を利用しながら解説していく。

2. シーンのモデリング

マテリアル設定前のプールのモデリング。白いモザイクタイルのプール槽と木デッキ、ステンレスの手すり、ガラス調のサンベッド2台、プールサイドに腰かける黄色いデッサン人形。水面はまだ入っていない

まずはプール・プールサイド・水面などのモデルを作成していく。水深は1.5m程度、モザイクタイルのマテリアルを設定したシンプルな構成である。

3. マテリアル設定とレンダリング

水面オブジェクトに水のマテリアルを割り当てる。CoronaRenderによるマテリアル設定で、コースティクスをオフにした状態でレンダリングしてみる。

CoronaのマテリアルエディタでWaterマテリアルを設定した画面。左はDiffuseのLevel 44.799%、色はH0°/S0%/V100%、Mix mode Normal・Mix strength 100%。右はTranslucencyのFraction 100%、Level 93%、色はH179°/S12%/V96%
Waterマテリアルの反射・屈折設定。左はReflectionのLevel 82.869%、Fresnel IOR 1.64、Glossiness 1、Anisotropy 0.8、異方性ハイライトの回転70。右はRefractionのLevel 100%、色H165°/S7%/V85%、IOR 1.33、Glossiness 1、Refraction behaviorのCaustic (slow)にチェック
Waterマテリアルのバンプ設定。左はBumpのStrength 20%にテクスチャ「Capa」を割り当て、ボケの量・強度とも0%。右はそのシェーダの中身で、レイヤーにノイズ「Ruido」を通常40%と通常100%の2枚重ねている
バンプに使うノイズシェーダ2枚の属性。どちらもノイズの種類Noise、シード665、参照する座標はテクスチャ、細部をボカす100%、デルタ100%、風速0%。全体スケールは左が117%(相対スケール415%)、右が34%(相対スケール318%)と粗さを変えている
コースティクスをオフにしたままレンダリングしたプール。水は透けてモザイクタイルの底とデッサン人形の反射は見えるが、水底に光の模様は出ていない

最低限のレンダリング結果になった。ひと昔前であれば、これで十分だろう。

4. コースティクスを追加


コースティクスの効果を追加していく。方法は3通りある。

4-1. 擬似コースティクス

擬似コースティクスの設定。WaterマテリアルのSelf Illuminationを有効にし、Multiplier 10、テクスチャに集光模様画像「fake_caustic.jpg」(830×830、RGB 8Bit、sRGB)を割り当てる。右はその集光模様画像で、黒地に白い網目状の線が広がる

水マテリアルの発光タブに集光模様の画像を設定。
水面形状に沿って集光模様を表現することで、擬似的にコースティクスを発生させる方法である。

擬似コースティクスを適用したレンダリング結果。水面全体に均一な白い網目模様が乗り、水底の質感が出ている。レンダリング時間はほぼ変わらない

結果画像はこちら。
レンダリングの時間はたいして変わらないので、簡単にリアルな表現が可能な方法である。

4-2. ポストプロダクションによる合成

ポストプロダクションによる合成結果。水面の選択範囲に集光模様画像を描画モード「スクリーン」で重ねた状態で、模様の強弱を後から調整できる

水面の選択範囲に、擬似コーティクスで使用した集光模様画像をブレンドモード・スクリーンにてのせている。擬似的な方法では水面均一に模様が表現されるので、どうしても嘘っぽさが出てしまうのが欠点。レタッチ技術とセンスが要求される。

4-3. レンダラーによる表現

Coronaのレンダリング設定画面。Performance settingsタブを開き、最下段のFast caustics solverの「Enable」にチェックを入れた箇所を黄色い矢印で示す。Generate caustics from environmentとEnable caustics adaptivityもオン、GI/AA balance 16、Max ray depth 25

最後は3DCGによる表現方法。レンダリング設定のCorona>Performance settings>Fast caustics solver『Enable』をチェック。設定はこれだけです。実際にレンダリングしてみる。

Fast caustics solverを有効にしたレンダリング結果。水面の波と連動した集光模様が水底に落ち、光の集まりに強弱が出ている。レンダリング時間は約2倍

段違いのリアリティが表現される結果となった。しかし、レンダリングの時間は2倍近くなってしまった。
使いどころは限定されるが、フォトリアルな表現が必要な場合は積極的に利用すべきである。

5. レベルの高い水面の描き方 まとめ

以上が、レベルの高い水面の描き方である。

今回紹介したコースティクスの表現方法は以下の3通り

□ 擬似コースティクス(レンダリング短・効果小)
□ ポストプロダクションによる合成(レンダリング短・効果中)
□ レンダラーによる表現(レンダリング長・効果大)

レンダラーによる表現が最適だが、時間がかかるため使い所は限定される。
建築パースに高い品質を求められる場合や、アニメーション時には積極的に利用するべきだ。

屋外プールのCGパース2枚を左右に並べた比較。左はそのままのレンダリング、右は集光模様を合成したもので、水面の反射が強いアイレベルのアングルでは差が出にくいことを示す。打放しコンクリートの庇と山並みの眺望、水面には黄色いアヒルのおもちゃ

左はそのままのレンダリング画像、右は集光模様を合成したプールのパースである。
人の目線高さ(H=1,000〜1,500)<アイレベル>のアングル時で、水深が深くない場合は、コースティクスを設定してもその表現があらわれてこないので注意が必要だ。

訴求が必要な時は合成による表現で解決するとよい。


▼その他のレタッチテクニックはこちらの記事にて▼
>> [必見] 建築CGの描き方・レッタッチテクニックまとめ [徹底解説]

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