【3DCGを学ぼう】レンダリングソフト(レンダラー)を紹介【建築パース制作】

【3DCGを学ぼう】レンダリングとはなにか【建築パース制作】
こちらの記事でレンダリングについてのおおまかな説明を行った。現在のトレンドや新しい技術について理解していただけたであろう。

今回は、レンダリングを行う際に利用するレンダラー(レンダリングソフト)を紹介していく。
レンダリングソフト選びは、それぞれの特徴と表現できる雰囲気を把握することがとても重要だ。
選択を誤らないためにも理解を深めておくことをおすすめする。

目次

1. レンダリングソフト(レンダラー)とは?

レンダラーとは、レンダリングを行うためのソフトウェアである。
利用するレンダラーによって、写実的な表現ができたり、セル画調になったりと設定で様々な表現が可能である。

2. 標準レンダラーと外部レンダラー

統合型の3DCGソフトには標準でレンダラーが装備されており、一般的にはそれを利用してレンダリングを行う。しかし、よりクオリティの高いものやスピードを求めるとなると、サードパーティと呼ばれる外部のレンダラーに頼らなければならない。

外部レンダラーは3DCGソフトごと利用できる状況が異なるので、自分の利用している3DCGソフトに目当てのレンダラーが対応しているかの確認が必要だ。

3. CPUレンダラーとGPUレンダラー

レンダラーにはCPU(中央処理装置)で行うものとGPU(半導体チップ)で行うものがある。
CPUレンダリングは、利用しているプロセッサの性能に依存し、時間をかけて高品質な画像・映像を生成する。

GPUレンダリングは、映像を表示させるチップを利用して高速にレンダリングを行う技術。早く描画できる反面、不正確な部分もあるので、CPUレンダリングとうまい具合に組み合わせ利用するのがよいだろう。

ちなみにGPUレンダリングの恩恵を受けられるのは、NVIDIA社製のものが多いため、AMD社製採用のMacユーザーは今後の展開に期待し、いましばらく待つ必要がある。

4. 建築CGにおけるレンダリングソフトのシェアは?

2020年建築ビジュアライゼーションに携わる人々を対象にしたアンケートにて、レンダラーの使用状況を調査した結果がある。

Results from the 2020 Rendering Engine Survey showing usage and adoption of various rendering engines in architectural visualization.

cg Architectより引用

調査の詳細はCGarchitectのWebサイトで確認してほしい。
プリレンダーとしてはV-ray・Coronaがシェアを分け合い、リアルタイムレンダーとしてUnrealの躍進が目立つ。

5. レンダリングソフトの紹介

5-1. V-ray (CPU)

ブルガリアにあるChaos Group社の製品。3DCG制作のレンダラーとしては一番のシェアを誇るレンダラー。業界標準といわれ、多くのアーティストやデザイナーが利用している。

設定は難解だがユーザー数の多さから情報は容易に見つけられるため、習得には問題はないだろう。

対応ソフト : 3dsMax・Maya・Modo・Cinema4D・Blenderなど
ライセンス形式 : 永久・サブスクリプション
ダウンロード型
料金
V-ray5 for 3dsMax  151,800円(株式会社オーク)
建築CG向き度数 : ★★★★★

>>「V-ray」の公式ページはこちら


5-2. CoronaRender (CPU)

レンダーリージョン社によるCPUレンダラー。対応ソフトは3dsmaxとCinema4dのみの為、国内では知名度が低い。上でも紹介したが、2020年のcgarchitectによるレンダラー使用調査ではV-rayに次ぐ2番目。海外の建築ビジュアライゼーションには多く利用されている。

V-rayに比べると設定がシンプルで明快。弊社ではメインでこちらを使用している。

対応ソフト : 3dsMax・Cinema4D
ライセンス形式 : サブスクリプションのみ
ダウンロード型
料金
Corona 3node 24.99ユーロ/月
建築CG向き度数 : ★★★★★

>>「CoronaRender」の公式ページはこちら


5-3. OctoneRender (GPU)

OTOYが販売するGPUレンダー。グラフィックボードの性能に応じた高速レンダリングが可能。あれこれといじる必要がなく綺麗が画が早くレンダリングできる。

AMD・Intel社製のGPUでの利用をここ数年模索しているが、現時点ではいまだサポートされていない。(2021年4月)CUDA対応NVIDIA製のビデオカードが必要となる。

対応ソフト : 3dsMax・Maya・Modo・Cinema4D・Blenderなど
ライセンス形式 : サブスクリプションのみ
ダウンロード型
料金
Enterprise Box License 699ユーロ/年
建築CG向き度数 : ★☆☆☆☆

>>「OctoneRender」の公式ページはこちら


5-4. Redshift (GPU)

GPUによる高速レンダリングを行いながら、CPUレンダラーと同等のクオリティを提供してくれる注目のサードパーティ。Maxon社が買収し、展開するCinema4Dにバンドルさせている。その為、C4Dで設定した標準マテリアルの互換性が高いのが特徴だ。

Blenderのサポートも予定されており益々ユーザー数を増やすことだろう。まだ日本語のチュートリアルが少ない状態なので、そのあたりでも今後恩恵があると思われる。

対応ソフト : 3dsMax・Maya・Cinema4D・Houdiniなど
ライセンス形式 : 永続
ダウンロード型
料金
Redshift 62,700円(株式会社インディーゾーン)
建築CG向き度数 : ★★★☆☆

>>「Redshift」の公式ページはこちら


5-5. Cycles4D (CPU+GPU)

Blenderに標準で搭載されてるレンダラー「Cycles」は、緻密な計算でフォトリアルな画を高速にレンダリングできる。そのエンジンをC4Dでも使えるようにINSYDIUM社が販売している外部レンダラー。

対応ソフト : Cinema4D
ライセンス形式 : 永続
ダウンロード型
料金
306.60ドル
建築CG向き度数 : ★☆☆☆☆

>>Cycles4D」の公式ページはこちら


5-6. Unreal Engine (GAME)

アメリカの「EpicGames」という会社が開発したゲームエンジン。「UE」と略して呼ばれることも多い。利用は無料で、売り上げに応じたロイヤリティを支払うシステム。

ブループリントというスクリプト機能を使って、感覚的に組み込むことができ、リアルで美しい3D動画を構築することができる。

ダウンロード型
各四半期で3000米ドルを超えた分に対して5%を支払う
建築CG向き度数 : ★★★★☆

>>「Unreal Engine」の公式ページはこちら


5-7. Lumion (standalone)

オランダのAct-3D社が開発した建築特化型プレゼンテーションソフト。3DCGの知識がなくても、簡単な操作と高速なレンダリングで高品質な動画・静止画を作り出すことができる。

素材も数多く付属しているので入門編としては最適だろう。

スタンドアロン
ライセンス形式 : 永続
ダウンロード型
料金
Lumion フルパッケージ 319,000 円~
建築CG向き度数 : ★★★★☆

>>「Lumion」の公式ページはこちら


6. レンダリングソフト(レンダラー)を紹介 まとめ

以上がレンダリングソフトについての解説である。

建築CG制作を目的としている場合は、まだまだCPUレンダラーが主流だ。

高速に結果が確認できるのは魅力的だが、正確性・安定性を考慮すると、GPUレンダラーの選択はまだリスクが高い。
それよりもゲームエンジンによるインタラクティブな表現が選ばれる傾向がある。

モデリングソフト同様、目的を明確にしてから候補を絞っていこう。

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