360°画像を利用したバーチャルツアー制作を解説

360°画像を利用したバーチャルツアー制作を解説

以前のブログ記事「360°パノラマVRを作ってみた」にて、おおまかにパノラマVRの制作工程を紹介した。
ありがたいことにバーチャルツアーの問い合わせや依頼をいただき、そのしくみや制作方法を説明するのだが、理解をいただくのがなかなか難しい。

そこで建築CG制作会社として出来ることと、バーチャルツアーを運営・管理していく側が行わなければならないことをまとめてみようと思う。

弊社ではバーチャルツアーの素材となる360°画像を、CG技術を利用して制作する。基本的にできることはここまでである。
その後、管理側で専門サイトに有料登録し、その画像を利用してバーチャルツアーを構築していくことになる。

今回は、弊社制作のマンションインテリア・バーチャルツアーを、RICOHさん提供「THETA 360.biz」を利用しながら解説していく。
目的に応じて、なにを行わなければならないかが理解していただけるはずだ。

【この記事の要約:30秒でわかる結論】

  • 結論:建築パースにおけるバーチャルツアー(360°パノラマ)は、静止画では伝えきれない空間の連続性・奥行き・動線をインタラクティブに伝える表現手段であり、閲覧者の空間理解と滞在時間を高める効果がある。
  • 独自の視点: バーチャルツアーは単なる視点切替ではなく、空間全体の情報を立体的に伝える設計行為である。プロは撮影位置・視点間の関係・接続構造を設計し、シームレスな動線として成立させる。ツアーの体験設計は、静止画とは異なる情報の優先度と視線誘導の構造を持つため、空間の相対的広がりを正確に伝える構成設計が求められる。
  • 読後の結果:読者はバーチャルツアーの基本的な役割と活用ポイントを理解し、静止画と組み合わせて空間情報を最適に伝えるプレゼン手法を自社の案件に応用できる判断基準を整理できる。
目次

1. 今回制作するバーチャルツアーを紹介

まず最初に今回制作するバーチャルツアーを見ていこう。
一般的な分譲マンションのそれぞれの部屋を行き来できるような構成となっている。

平面図と連携されており、見ているポイントと方向が示されるのでとてもわかりやすいのが特徴である。


2. 用意するもの

見ていただいたバーチャルツアーは、左上の平面図(マップ)にあるポイント地点に、それぞれ360°画像が用意され、そのポイントをクリックすることで移動・画像表示ができるしくみである。


2-1. 部屋毎のパノラマCG画像

今回は、リビングダイニング/キッチン/洗面所/廊下/洋室1・2・3の計7か所のパノラマ画像が必要である。
通常の内観パースを作成する方法と同様、一般図・仕様書等の情報から3次元化していき、360°カメラの設定を行い画像を生成する。
一般的なアスペクト比は2:1、4000×2000ピクセルが主流である。

マンションのリビングダイニングを撮った全天球パノラマ画像の例。上下左右すべての範囲が横長の一枚に収まり、天井と床が大きく湾曲。ダイニングテーブル、テレビボード、掃き出し窓、廊下と隣室まで四周が写る

360°パノラマ画像の例。上下左右すべての範囲が一枚に収まったもので、全天球画像と呼ぶ。
視点位置から二面もしくは三面の壁を見る一般的な内観パースと異なり、四周すべてが見える状態な為、制作対応しなければならない範囲は自ずと増え、その分手間もかかる。尚、CG制作会社として、対応可能な範囲はここまでである。

2-2. 平面図

バーチャルツアーの左上に表示される平面図が必要となる。jpg形式の画像で用意しておこう。
また、図面がなくてもツアー画面下部にサムネイルを表示させて移動させる方法もある。


3. THETA 360.bizでツアー作成

ここからはRICOHさんの提供する「THETA 360.biz」サイトでの作業になる。登録(クレジットカード必要なし)すれば1か月無料で利用することができる。


THETA 360.bizの編集メニュー画面。左に「全天球イメージ」(投稿する/一覧を見る)、右に「ツアー」(ツアーを作成する/インポートする/一覧を見る/AI画像切り出し予約一覧)。赤矢印と赤枠で「ツアーを作成する」を指示

登録後、表示されるトップ画面の編集メニューよりツアー>「ツアーを作成」をクリック


ツアー作成画面。上部にプレビュー・一時保存・キャンセル・登録ボタン、ツアータイトル欄に「マンション・インテリアツアー」を赤枠で表示。左の「マップ」に3LDKの平面図、右の「360°ビュー」は空欄。赤矢印がマップへの平面図ドロップを指示

ツアー作成画面が表示される。わかりやすいようにツアータイトルをつけておこう。
また、マップのウィンドウに平面図のファイルをドラッグ&ドロップで追加しておく。


ツアー作成画面下段の「360°画像」ウィンドウ。リビングダイニング・洋室1・キッチン・洗面所・廊下・洋室2のパノラマサムネイルが名前付きで横一列に並ぶ。右上にバナー設定と三脚消しの「プレイヤー設定に従う(三脚消ししない)」

下段の360°画像のウィンドウに用意したパノラマ画像を一式追加する。ファイル名はそのままツアーウィンドウに表示されるので、適当なものに変更しておく必要がある。


マップの平面図にポイント1を追加した状態。リビングダイニング上に水色の扇形と番号1が表示され、右の360°ビューにそのパノラマのプレビュー。「アノテーション追加」「最初に表示する方向の指定」のボタンと拡大縮小アイコン

追加したパノラマ画像をドラッグして、平面図の該当する箇所にドロップするとポイントが追加される。
360°ビューウィンドウにはそのパノラマ画像を変換したプレビューが表示され、最初に表示する方向やアノテーション(注釈)が追加できる。


平面図上の扇形アイコンで表示方向を直す手順を3コマで図示。左:キッチン側を向いた薄い扇形を赤矢印がクリック、中央:濃く表示され編集可能になった状態、右:バルコニー側へ向きを回転させた状態

リビングダイニングのシーンはバルコニー側を向いている状態だが、平面上のポイントはキッチン側を向いてる表示になっている。これを修正するには、扇状の箇所をクリックすると色が濃く表示され編集可能の状態になる。それをクリック&ドラッグで希望の方向まで調整しよう。


洋室1にポイント2を追加した状態のマップと360°ビュー。平面図にポイント1と2の扇形が並び、下段のサムネイルでは洋室1が選択されている

洋室1にも同様の対応を行い、ポイントを追加していく。


ツアー作成画面上部のボタン列。プレビュー・一時保存・キャンセル・登録が並び、赤枠と赤矢印で「プレビュー」を指示

ここでウィンドウ上部のプレビューより、これまで制作したものを確認してみよう。


バーチャルツアーのプレビュー画面。左上に現在地と向きを示す平面図、左下のグリッドアイコンをクリックすると下部にリビングダイニング・洋室1のサムネイル一覧が表示される。赤矢印がその2か所を指示

現状、平面図上の赤いポイントをクリックするか、左下のアイコンクリックで画像一覧を表示させて場所を移動することしかできない。画面上にリンクと呼ばれる隣接する部屋名を表示させ、移動をスムーズにできる設定を行う。


マップの「リンク」タブを選択した設定画面。平面図上のポイント1と2をクリック&ドラッグで結び、移動用のラインが引かれた状態。赤矢印がリンクボタンとラインを指示

マップウィンドウより、リンクをクリックして設定画面へ。移動させたいポイントをクリック&ドラッグで結ぶとラインが表示される。


プレビュー画面で移動リンクを確認したところ。隣室の入口に「リビングダイニング」のラベルが赤枠で表示され、クリックでその部屋へ移動できる

プレビューで確認してみよう。これでツアーのウィンドウに移動リンクが表示される。


全ポイントのリンク設定を終えたマップ。平面図上の1から7までのポイントが線で結ばれ、右に360°ビューのリビングダイニングが表示されている

同様の対応をそれぞれのパノラマ画像に対して行う。
たまに表示方向を修正したいが扇状アイコンが表示されない場合がある。設定項目が「リンク」になっているだけなので、「選択」に戻せば表示されるようになる。

以上でシンプルなバーチャルツアーの制作は完了である。上部右側にある青色の「登録」ボタンを押して終了しよう。


4. ツアーをWebサイトに埋め込む

制作が完了したツアーを、自分のサイトに表示させよう。設定はとてもシンプルで簡単である

ツアー詳細画面。左上に平面図つきのツアープレビュー、公開状態は「公開」、右下の「埋め込みHTMLコード発行」ボタンを赤枠と赤矢印で指示。※管理コンソール上からの閲覧はPVカウントされませんの注記

ツアー一覧より、表示させたいツアーを選択した後、表示されるウィンドウの右下にある「埋め込みHTMLコード発行」ボタンをクリック。ポップアップで表示されるHTMLコードを、自サイトに埋め込むだけである。
一番最初にご覧いただいたツアーもこの方法でこのページに埋め込んでいる。


5. 360°パノラマ画像を利用したバーチャルツアー制作解説 まとめ

以上がRICOHさんが提供する「360°THETA biz」を利用したバーチャルツアーの制作方法である。
非常にシンプルで簡単に制作できることを理解していただけたであろう。

今のところ、「360°THETA biz」のようなサービスを利用してツアーをサイトで紹介する方法が主流。
月額の費用によって表示できるツアーの数制限があるので、契約前に目的に合ったプランを選択する必要がある。

VRソフトを利用してツアーをエクスポートできる場合を除き、建築CG制作会社としては、360°のパノラマ画像素材を制作・提供するまでが対応可能な範囲であることが多い。また、ツアーを運営する側としても、メンテナンス含め、このようなサービスサイトに登録して管理するほうがメリットが多いだろう。

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