インテリアスタイルとカラースキーム【建築パース制作】

前回の記事では、床色による家具構成をまとめて解説した。
家具の配色や形について、注意しなければならない点を抜粋している。

その点をふまえ、今回は主流なインテリアスタイルを反映した空間をどのように制作するかを解説していく。
これまでのインテリアコーディネート記事のまとめとなり、より実践的な内容になっているはずだ。

住宅の内観パース作成で求められるであろう、モダン・ナチュラル・北欧・インダストリアルの4つのスタイルに絞っている。
これらの内容を把握し実践すれば、統一感があり洗練された空間イメージを作り出すことができるだろう。

目次

1. モダンスタイル

無彩色をベースに構成されたシンプルで落ち着きのあるコーディネート。近代・現代的でシャープなイメージがあり人気の高いスタイルである。

1-1. モダンスタイルのポイント

  • 洗練されたデザインの家具を選択
  • 素材にガラスやスチールなどの人工的なものを取り入れ、光沢感や硬質感を追加する
  • 形状は直線基調のデザインをメインにすること
  • シンプルで色数も少ないので単調になりがち。小物を利用しアクセントとなる色を加える

1-2. モダンスタイル例 その1

モダンインテリアの基本はモノトーンでの配色。これだけでクールでスタイリッシュな雰囲気を構成することができる。

・壁天井はホワイト、床はライトブラウンのフローリング
・家具をモノトーンで構成。全体が明るいので大きな面積を占めるソファも濃い色で問題ないが、高さは抑えている。
・近代的なイメージの強いガラスやスチールをメインとした家具を選択。光沢感や硬質感を取り入れる。
・重さが出ないよう家具の脚は細いもの。黒メラ塗装共通で統一感を図る。
・無機質な印象が強くなるので、グリーンを散りばめてバランスをとる。
・小物もモノトーンを大きく外さない配色で行う。パターンは幾何学模様が相性よい。

1-3. モダンスタイル例 その2

無彩色にて構成された空間に、木の質感を取り入れることで、緊張感の中にナチュラル感が追加されるパターン。

・壁天井はホワイト、床はライトブラウン。
・モノトーンベースの家具構成に、ブラウン系の木を取り入れる。
・脚は金属で共通させる。
・ブラウンが浮かないように壁との中間色をソファとカーテンに適用
・ラグは無彩色かベージュ系の明るめのものを選択

2. ナチュラルスタイル

木材の家具を中心に、自然素材のインテリアで構成された素朴で穏やかなスタイル。
白やベージュ系でまとめ、ファブリックなどにも天然素材の布地を使用して「自然」で統一するとよい。

2-1. ナチュラルスタイルのポイント

  • テーブルやソファは明るい色味の木材を使用したもの
  • ラグやクッションなどのファブリックは天然素材を用いたものを選ぶ
  • 白・ベージュなどの落ち着いた色でベースカラーを構成
  • 小物類はアースカラーで配色

2-2. ナチュラルスタイル例 その1

・壁天井はホワイト、床はライトブラウン
・自然素材をベースに、白やベージュ系で家具全体を配色
・家具の形状は丸みを帯びた柔らかいもの
・木は白木が中心
・自然が織りなすアースカラーを小物の配色に

2-3. ナチュラルスタイル例 その2

・壁天井はホワイト、床はブラウン
・ミディアムブラウンの木目家具で構成。異なる木目も、基調色を合わせれば違和感なくまとまる。
<基調色とは、アンダートーンともよばれ青基調のクールトーンと黄基調のウォームトーンの2種類がある>
・ファブリックで共通箇所を設けて統一感を出す。
・配色は基本アースカラー。アクセントにグリーンがあるので同系配色で。

3. 北欧スタイル

ホワイトやグレーなどのナチュラルカラーをベースに、明るい白木の家具や、豊かな自然を感じるグリーン・ブルー・イエローなどの強い色をアクセントとして加えたインテリア。

3-1. 北欧スタイルのポイント

  • シンプルで飽きのこないインテリアを追加
  • 家具の形状は少し丸みを帯びたもの
  • アクセントカラーはパステルな特徴のある色を選ぶ
  • ポイントで有名デザイナーの家具を取り入れる
  • 北欧テイストの模様が描かれたファブリックを採用

3-1. 北欧スタイル例 その1

・壁天井はホワイト、床はライトブラウン
・白木ベースの家具を配置。異なる木目も、基調色を合わせれば違和感なくまとまる。
・家具形状は丸みを帯びたやわらかいものを選ぶ。
・ファブリックは北欧系の模様が描かれたもの
・アクセントカラーは自然を感じられる引きの強い色で

3-1. 北欧スタイル例 その2

・壁天井はホワイト、床はライトブラウン
・家具は白木で統一
・有名デザイナーの家具をポイントで配置
・家具や小物はペールトーンで統一
・アクセントカラーは自然を感じられる引きの強い色で
・ラグも北欧風の模様の入ったものを選ぶ

4.インダストリアルスタイル

工場や倉庫をイメージした、無骨でユーズド感のあるテイスト。機能性の高い工業製品をインテリアに取り入れ、海外の工場や倉庫のような雰囲気を演出。

4-1. インダストリアルスタイルのポイント

  • 家具はスチールなどの無機質な金属でブラックをメインに採用
  • ソファの張地はレザー
  • 日本の住宅で行うには天井の低さから物を減らすとよい
  • 濃い色のものばかりになり、暗くなってしまう場合は明るいラグ等で調整
  • 小物も明るいものを選ぶ

4-1. インダストリアルスタイル例 その1

・壁天井はホワイト、床はダークブラウン
・ダイニングチェアは異なる物をチョイス
・ソファの張地はレザーで汚くならないように
・グリーンも葉の大きめのものを選ぶとよい
・工場感はペンダントライトが出しやすい
・暗くなってしまう配色なので、明るいラグで調整する

4-2. インダストリアルスタイル例 その2

・壁天井はホワイト、床はライトブラウン
・明るめのベースカラーなので、工場感を強めに
・ソファの張地は使用感のある茶のレザーで
・ダイニングチェア・ソファの張地色を合わせる
・家具脚はスチールで共通
・窓まわりはシャープなイメージのブラインドで

5. まとめ

以上が、インテリアスタイル4種のまとめ記事である。
インテリアパース作成においては、これらのスタイルを抑えておけば問題ないだろう。

パース作成を行う空間の仕様を確認し、床色やその住宅全体のテイストを把握しよう。
そしてインテリアスタイルを決定した後に作業を行う過程をたどれば、イメージの統一されたパースが制作できるだろう。

インテリアコーディネートは最終的なところでセンスは必要となってくる。
しかし、その前段階までは論理的な手法だけでもたどり着けると思う。その内容がわかっていただけたのではないだろうか。

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