ChatGPT Images 2.5は建築設計・インテリアデザインに活用できるのか【自社CGパースで検証】

建築意匠設計やインテリアデザインに、AI技術を取り入れている人は多いことだろう。特に構想の初期段階では、MidjourneyやChatGPTなどの画像生成AIでイメージを形にする方法はとても有益である。
ただし設計の検討に使おうとすると、2つの壁に突き当たるはずだ。
一つは、参考にしたい事例が2つありその中間にあるものを生成してみたいと思っても、参考画像を2枚渡した結果は片方に強く寄るか、どちらとも似ていない別のものになることである。
もう一つは、気に入った1枚が生成できたとしても、反対側のカットや別の箇所を詰めたカットを作ろうとすると、まったく別の建物になってしまうことである。
今回発表されたChatGPT Images 2.5は、この2つの問題を解決することができる。参考にしたい2つの事例の、どちらのコピーでもない3つ目のデザインが生成でき、そのデザインを保ったまま別のアングルも生成できるのである。
さらにそこから先の詳細な検討には、GPT-6 Astra+CodexにてBlender MCPを利用し、生成画像をもとに指示を重ねて3Dモデルを制作することができ、形やディテールを詰めていくことも可能である。
今回、自社で制作したCGパースを利用して、マンションの外観、内観、飲食店の内装という3つのパターンで検証を試みた。本記事では、実際に使用したプロンプトの全文とともに、その過程を紹介する。
【この記事の要約:30秒でわかる結論】
- 結論:ChatGPT Images 2.5は、2つの参考事例を組み合わせた建築・インテリアのデザイン案をつくり、同じ意匠を別の角度から確かめる初期検討に使える。GPT-6 Astraを使えば、生成画像をもとに3Dモデルで検討を進めることも可能だ。
- 独自の視点:参考事例のどこを評価し、何を取り入れたいのかを言葉にすることが、狙ったデザインに近づける鍵である。設計者が特徴を読み取り、具体的に伝える力がAIの活用に生きる。
- 読後の結果:参考画像からデザイン案をつくる指示の書き方と、画像・3Dモデルで検討を進める流れが分かる。AIでできることと、人による確認や調整が必要な範囲を把握できる。
1. ChatGPT Images 2.5とは何か

ChatGPT Images 2.5は、OpenAIが2026年9月8日に発表した画像生成・編集モデルである。ChatGPTの画像生成・編集機能はこのモデルに切り替わった。従来のImages 2.0からの主な変更点は、次のとおりである。
- 画像生成の待ち時間が、最大50%短縮された
- 指定した部分を修正し、それ以外を維持する精度が向上した。編集を重ねても、それまでの修正内容や細部が崩れにくくなった
- 参照写真の被写体を別の場面や構図で描く際も、その特徴を保ちやすくなった
- 手描きのスケッチをもとに画像を生成する「Sketch」と、画像に直接コメントを付けて修正する機能が加わった
ChatGPT、ChatGPT Work、Codexのすべてのユーザーが、パソコン・スマートフォン・Webのいずれからでも使える。(出典:OpenAI「ChatGPT Images 2.5 のご紹介」、gihyo.jp、AI Watch)
1-1. ChatGPT Images 2.5の利用料金と対応プラン
ChatGPTの画面から使う分には、Images 2.5に追加料金はかからない。無料プランを含むすべてのプラン(Free / Plus / Pro / Team / Enterprise)で使えて、プランごとに決まっている画像生成の回数上限が、そのまま適用される。
つまり、この検証を再現するために、新しく契約するものはない。今回の検証はProプランで行っているが、上位プラン限定の機能を使っているわけではない。
なお開発者向けのAPIには、GPT-Image-2.5 FlareとGPT-Image-2.5 Sunburstという2つのモデルが用意されている。こちらは使った分だけ費用がかかるため、大量に処理する用途では見積もりが必要になる。設計の検討で数枚から数十枚を生成する程度であれば、ChatGPTの画面から使うほうが現実的だろう。
1-2. GPT-6 Astraとの違い
GPT-6 Astraは、OpenAIが2026年9月3日に発表した言語モデルである。画像生成モデルのImages 2.5は、その5日後に公開された。両者は別々に発表されたモデルである。
Astraは、コンピュータを操作する作業を得意とする。指示を読み取り、手順を組み立て、ソフトを操作する。さらに、結果を確認して修正するところまで任せられる。画像を生成するImages 2.5に対し、Astraは作業の手順と実行を担う。
本記事では、画像生成にChatGPT Images 2.5を使用した。生成画像から3Dモデルを起こす6章の検証には、Astraを使っている。
2. 検証①|マンションの外観をブレンドして生成する
最初の検証では、マンションの外観デザインを取り上げた。参考となる2つの事例から要素を組み合わせ、新たな外観をつくれるかを試した。さらに、同じデザインのまま、アングルを変えたカットを生成できるかも確かめた。
2-1. 素材にした2つの建物
使用したのは、いずれも私たちが過去に制作した集合住宅のCGパースである。他社の作品や実在する建物の写真では、権利関係を明確に説明できない。そのため、今回は自社サイトで公開済みの事例だけを使用した。


Aの特徴は、次のとおりである。
- 明るい石と濃いグレーのタイルによる外壁の張り分け
- 細い縦スリット窓
- 最上階のセットバックと、その上に水平に架かる薄く出の深い庇
- 奥の駐車スペースへの車両出入口に架かる、1階の黒い庇
Bの特徴は、次のとおりである。
- 水平方向に長く伸びる建物の構え
- 上部2層に等間隔で並ぶ石張りの太い柱型と、その間のタイル張りの壁
- 下層部に連続するガラス手すりのバルコニーと、それを縁取る黒に近い色のフレーム
- 建物前面の歩道と、そこに並ぶ街路樹
形も構成も異なる2棟だが、都市部の集合住宅という方向性は共通している。
2-2. まず一文だけで頼むと、塊の足し算になる
まずは、簡単な指示で試した。AとBの画像を渡し、次の一文だけを送った。
【プロンプト】
1枚目をA、2枚目をBとします。(A+B)÷2のデザインで、新しい集合住宅の外観を生成してください。

それらしい外観は出てくる。ただしよく見ると、右側はAの石張りとダークタイルのボリューム、左側はBの横に長いバルコニーの格子で、Aの塊とBの塊を並べた足し算になっている。どちらの良さを建物のどこにどう混ぜるかをAIに任せると、この形になりやすい。
単純に頼むこともできるが、設計の検討に使える「AとBをブレンドしたC」にはなりにくい。
2-3. 評価している要素を分解して、プロンプトに書く
そこで、AとBのどの点を評価しているのかを整理した。取り入れたい要素を具体的な言葉で書き出し、改めて生成を依頼した。以下が、実際に使ったプロンプトの全文である。
【プロンプト】
この2つの建物のいいところを組み合わせて、どちらとも異なる新しい集合住宅をデザインしてください。
1枚目(A)から取り入れてほしいもの
・明るい石張りと濃いグレーのタイル、この2色でボリュームを塊に分ける構成
・最上階だけセットバックさせ、その上に深く出した水平の庇をかける納まり
・壁面を縦に細く切ったスリット状の開口
・1階の薄い水平の庇とダウンライト
2枚目(B)から取り入れてほしいもの
・正面から見たときの、水平に長く伸びる落ち着いた構え
・上層階の、柱型が等間隔に並ぶ列柱のような見え方
・下層階の、木の色のルーバーで縁取られた連続するバルコニー
・建物の前を横切る街路樹の並木と歩道
条件
・7階建て程度、日本の都市の住宅地
・晴れた日中、斜め45度からのアイレベル
・どちらか一方のコピーにはしないこと。2つの特徴が混ざった別の建物にしてください
・看板、文字、ロゴは一切入れないこと
・人物は入れないこと
このプロンプトでは、AとBから取り入れたい要素を一つずつ具体的に説明している。「Aの雰囲気で」「Bのような素材感で」といった抽象的な指示では、今回の結果にはつながらない。「明るい石張りと濃いグレーのタイルを使い、2色でボリュームを分節する構成」のように、素材と構成まで言葉にする必要がある。
設計者であれば、形の特徴をこの程度まで具体的に説明することは難しくないだろう。デザインの要素を言葉にできる人ほど、扱いやすい道具である。
2-4. 生成されたCは、AとBのどこが採用されたか

- Aから取り入れられた要素:2色によるボリュームの分節、縦スリット、最上階のセットバックと深い庇、1階の水平の庇
- Bから入ったもの:水平に伸びる構え、上層階の列柱状の見え方、木の色のルーバーで縁取られた連続バルコニー、前面の街路樹
一文だけのときと違い、AとBの要素が塊にならず、建物全体に行き渡っている。出来上がった建物はAでもBでもない。それでも、AとBから取り入れてほしいものにあたる特徴は残っている。どちらか一方の模倣になっていないことは、デザインの出発点として使ううえで重要なポイントだろう。
もう一つ、実務では意外に効く発見があった。指示文の最後に入れた「看板、文字、ロゴは一切入れないこと」「人物は入れないこと」という2行である。この禁止事項を書かずに生成した際には、依頼していない看板が建物に入り込んだ。不要なものは、あらかじめ禁止事項として書いておく。それだけで、生成をやり直す回数は目に見えて減る。
2-5. 同じ建物の意匠を維持したまま、別のカットが生成できるか
画像が1枚できただけでは、デザインの検討に使いにくい。検討を進めるには、同じデザインのまま、別のカットを生成できることが重要である。
そこで、ChatGPTの同じチャット内で、画像を貼り直さずに追加の指示を送った。「いま作った建物とまったく同じにしてください」と添え、アングルだけを順に変えていった。
【プロンプト】
最初に作った外観の全景(斜め45度から建物全体が入るカット)と、まったく同じ建物のまま、真正面から見たカットを作ってください。
・斜め45度のカットと同じレンズ・同じ画角の見え方にそろえてください
・カメラは建物の長手の正面に正対させ、水平のアイレベル。縦の線は垂直に保つ
・建物全体が画面に収まる距離まで引き、左右の妻側のボリュームも入れる
・階数、正面のバルコニーのスパン数、石張りとダークタイルの張り分け、木の縦ルーバー、最上階のセットバックと深い庇、1階の水平の庇、前面の街路樹と歩道は、最初のカットと同じ
・横長(16:9)
・看板、文字、ロゴは一切入れないこと
・人物は入れないこと

【プロンプト】
同じ建物のまま、もう1枚。
道路側から、エントランスまわりを寄りで捉えたカット。
・歩道の高さから、エントランスまわりに寄る
・建物の上のほうは画面から切れてよい。1階から2階あたりまでが主役
・石張りの壁、木の色のルーバー、薄い庇とダウンライト、植栽と石畳のアプローチが見えるように
・晴れた日中、同じ光
・看板、文字、ロゴは一切入れないこと
・人物は入れないこと

【プロンプト】
同じ建物のまま、もう1枚。
エントランスの自動ドアを正面から捉えたカット。
・庇の下に立って、エントランスドアに正対する
・ドアと、その両側の壁、天井の見上げが入る範囲
・石張りの壁、木の色の縦ルーバー、天井のダウンライト、ドアのガラス越しに見えるエントランスホールの奥行き
・晴れた日中。外は明るく、屋内は暖色の照明
・看板、文字、ロゴは一切入れないこと
・人物は入れないこと

石の目地割り、木の縦ルーバーのピッチ、庇の薄さ、ダウンライトの入り方、暗いタイルの仕上場所。4枚を並べて見ると、ひとつの建物として繋がっていることが分かる。編集を繰り返しても以前の変更が維持されやすくなったという改善が、実際に効いている部分である。
ただし、すべてが一度で決まったわけではない。真正面からのカットは、1回目では間口が狭く、別の建物のようなプロポーションになった。そのため指示を書き直し、2回目で狙った形にしている。おかしな点があれば、その箇所を言葉にしてもう一度指示する。このやり取りを1枚あたり1分前後で繰り返せることが、この道具の実質的な価値だと考えられる。
3. 検証②|マンションのLDKをブレンドして生成する
2つ目の検証では、マンションのLDKを取り上げた。下記の2枚を参考画像として選び、それぞれの要素を組み合わせたLDKをつくれるかを試した。さらに、同じデザインのまま、カメラの位置を変えたカットを生成できるかも確かめた。


Aの特徴は、次のとおりである。
- 白い大理石、木の縦格子、濃い色の木製キャビネットによる素材のコントラスト
- アイランドキッチンからダイニングテーブルへと連続する配置
- ダイニングのアクセントとなるガラスのペンダント照明
Bの特徴は、次のとおりである。
- ベージュからクリーム色でまとめた、柔らかな色調
- 細いスチールフレームで構成された、流線形のペンダント照明
- ヘリンボーン張りの木質床
- ふっくらとした形のファブリック張りソファ
3-1. 実際に投げたプロンプト
【プロンプト】
この2つの良いところを組み合わせて、どちらとも異なる新しいリビングダイニングをデザインしてください。
1枚目(A)から取り入れてほしいもの
・素材のコントラスト。白い大理石、木の縦格子、濃い色の木のキャビネット
・アイランドキッチンがあり、そこからダイニングテーブルへ続いている構成
・ガラスのペンダント照明を、ダイニングのアクセントとして吊ること
・キッチンの背面に、質感のあるタイルの壁
2枚目(B)から取り入れてほしいもの
・ベージュからクリームでまとめた、やわらかい色調
・天井まわりの間接照明でつくる、落ち着いた明るさ
・ヘリンボーン張りの木の床
・ふっくらしたファブリックのソファと、大きな窓にかかる薄いカーテン
条件
・日本の集合住宅のリビングダイニング
・夕方、屋内は暖色の照明
・アイレベル。広角すぎない画角
・どちらか一方のコピーにはしないこと。2つの特徴が混ざった別の部屋にしてください
・看板、文字、ロゴは一切入れないこと
・人物は入れないこと
3-2. 1回目は「貼り合わせ」になった
1回目の生成は、うまくいかなかった。キッチン側はAのデザインがそのまま優先され、リビング側はBのデザインがそのまま優先されている。2つが混ざったというより、別々の内装を並べて貼り合わせたような画になった。

いいとこ取りがうまくいかないときは、この形で失敗することが多い。指定した要素自体は入っているが、それぞれが元の領域に留まり、互いに混ざっていない状態である。
3-3. ブレンドし直しのプロンプト
この問題は、指示を書き足すことで解決できる。方法は、Aの要素をBの領域にも使うよう、明確に指定することである。実際に投げ直した指示文から、該当する部分を抜き出した。
【プロンプト(抜粋)】
・いまはキッチン側だけがA、リビング側だけがBに見えます。もっとブレンドしてください
・Aの大理石と木の縦格子を、リビング側の壁にも使う
・Bのベージュからクリームの色調を、キッチンの面材にも回す(濃い木は少し明るく)
・Bのヘリンボーンの床は部屋全体に通す
・どこを切り取ってもAとBの両方が写っている状態にしてください

要点は、最後の「どこを切り取ってもAとBの両方が写っている状態にしてください」という1行である。これは、AとBの要素がそれぞれ別の領域に分かれることを防ぐ指示として働く。
その結果、大理石と木の縦格子はリビング側の壁にも使われ、ベージュの色調はキッチンの面材にも広がった。AとBの要素が空間全体に行き渡り、ひとつの内装として馴染んだのである。
3-4. カメラの位置を変えて、別のカットを出す
外観と同じように、内観でも別のカットを出せるかを確認した。ここで注意したいのは、単に元の画面に寄っただけでは検証にならないという点である。同じ方向から拡大しただけでは、元画像をトリミングしたものと見分けがつかない。
そこで今回は、カメラの立ち位置そのものを移動させたカットを指定した。
【プロンプト】
今度は、斜めの角度からキッチンを見るカット。正面でもズームでもなく、カメラの立ち位置自体を変えます。
・部屋の窓側(バルコニー側)に立って、アイランドキッチンを斜め45度から見る構図
・アイランドは正面ではなく斜めに。天板の奥行きと側面が見えるように
・背面のタイルの壁と収納、レンジフードが斜めに流れて奥へ続く

生成されたカットでは、アイランドキッチンの天板の奥行きと側面が見え、背面のタイル壁とレンジフードが斜めに奥へ続いている。手前にはダイニングテーブルの端が入り、右手の窓からは夕景が見える。それでも、大理石、ベージュの面材、ヘリンボーンの床といった素材は、前のカットから変わっていない。
カメラを動かす場合は、立ち位置を変えることと、その移動によって見えるようになる面を明示する。今回の検証では、この2点を書くことで狙ったアングルに近づけることができた。
4. 検証③|飲食店の内装をブレンドして生成する
3つ目の検証では、バーの内装デザインを取り上げる。下記の2枚を参考画像として選び、それぞれの要素を組み合わせた内装をつくれるかを試した。さらに、同じデザインのまま、アングルを変えたカットを生成できるかも確かめた。
4-1. 素材にした2つの店舗


Aの特徴は、次のとおりである。
- 高層階の全面ガラス張りの窓と、その先に広がる都市の夜景
- 水平方向に長く伸びるバーカウンターと、足元を照らすアンバー色の間接照明
- キルティング状の仕上げを施した腰壁
Bの特徴は、次のとおりである。
- 艶のあるターコイズブルーのタイルで仕上げた壁
- 真鍮の細い部材で吊った棚と、そこにボトルを並べたカウンターバック
- 天井から吊るされたドレープ状の金網造作と、ガラスのペンダント照明
どちらも、夜にカウンターで過ごす店という方向性に沿っている。
4-2. 実際に投げたプロンプト
【プロンプト】
この2つの良いところを組み合わせて、どちらとも異なる新しいバーをデザインしてください。
1枚目(A・バーラウンジ)から取り入れてほしいもの
・高層階の全面ガラスと、その外に広がる都市の夜景
・水平に長く伸びるバーカウンターと、足元を照らすアンバー色の間接照明
・キルティング状の質感がある腰壁
・窓際に置いたラウンジ席のまとまりと、キャンドルの灯り
2枚目(B・シーフードレストラン)から取り入れてほしいもの
・ターコイズブルーの艶のあるタイルの壁
・真鍮の細い部材で吊るされた棚と、その棚にボトルがずらりと並ぶカウンターバック
・天井から吊るされたドレープ状の金網造作と、ガラスのペンダント照明
・大理石の丸テーブルと革張りのアームチェア
・ヘリンボーン張りの木の床
条件
・カウンターを主体にした、高層階のバー。日本の都市
・夜。暖色の照明
・カウンターの伸びと窓の夜景が両方見える、目線の高さのアイレベル。広角すぎないこと
・どちらか一方のコピーにはしないこと。どこを切り取ってもAとBの両方が写っている、混ざった別の店にしてください
・看板、文字、ロゴは一切入れないこと
・人物は入れないこと
4-3. 生成されたデザイン

今回は、1回目の生成で内装全体がまとまった。Aからは夜景、カウンター、キルティング状の腰壁が取り入れられた。そこにBのターコイズブルーのタイル、真鍮のカウンターバック、天井から吊るされたドレープ状の金網造作、大理石の丸テーブルが組み合わされた。両者の要素が空間全体に行き渡っている。
4-4. 同じデザインのまま、アングルを変えたカットを生成する
ChatGPTの同じチャット内で、画像を貼り直さずに次のプロンプトを送った。
【プロンプト】
今度はアングルを変えて、同じデザインのまま、カウンターに正対するカットを生成してください。
・さっきまでの斜めの構図とは別の方向から。カウンター越しに、カウンターバックの壁へ正面から向き合う構図。左右対称に近い構え
・ターコイズタイルの壁と真鍮の棚、並ぶボトルが正面の主役。カウンター天板が手前に水平に通る
・上に天井から吊るされたドレープ状の金網造作とガラスのペンダントが入る
・目線の高さ、水平。40〜50mm相当。広角すぎない
・素材と色はこれまでのカットとまったく同じ
・夜、暖色の照明
・看板、文字、ロゴは一切入れないこと
・人物は入れないこと

カウンター越しにカウンターバックを正面から見たカットでも、同じ店のデザインが保たれた。窓の外の夜景も、前のカットとつながっている。
参考となる事例が2つあれば、両者の要素を組み合わせた案を短時間で形にできる。さらに、別の角度から確認しながら、デザインの検討を進められる。
5. 生成した画像のデザインは、どこまで修正できるか
ここまでは、画像を生成するところまでを見てきた。ここからは、出てきた画像をどう直すかに移る。実務で使えるかどうかは、気になる点を修正できるかで決まるからだ。
5-1. 意図したデザインに近づけるプロンプトの書き方
今回の検証を通じて、指示の書き方には一定の型があることが分かってきた。ここでは、実際に効果を確認できたものを整理する。
📑取り入れたい素材と構成を、具体的な言葉で示す
「Aっぽく」と伝えるだけでは、狙った結果にはならない。「明るい石張りと濃いグレーのタイル、この2色でボリュームを塊に分ける構成」というところまで、要素を分解して書く。素材と構成を設計の言葉で具体的に示すほど、結果は安定する。
🔧入れてほしくないものは、あらかじめ禁止する
指示文の末尾に、「看板、文字、ロゴは一切入れないこと」「人物は入れないこと」と書いておく。今回も、この2行を書かなかった際には、依頼していない看板が入り込んだ。必要な要素だけでなく、不要なものも先に伝えておくことが大切である。
🎨AとBの要素が場所ごとに分かれる場合は、空間全体で組み合わせるよう指示する
「どこを切り取ってもAとBの両方が写っている状態にしてください」と指示する。これにより、キッチンにはA、リビングにはBというように、要素が場所ごとに分かれるのを防げる。さらに、「Aの大理石をリビング側の壁にも使う」のように、取り入れたい要素と、その要素を使う範囲を個別に指定すると効果がある。
🎞️ 別のカットを生成するときは「同じデザインのまま」と指定する
ChatGPTの同じチャット内であれば、2カット目以降は画像を貼り直す必要がない。「いま作った建物とまったく同じにしてください」と添え、アングルなどの変更したい条件だけを指定する。
📷 カメラを動かすときは、立ち位置と見える面を書く
単に「寄る」と指示するだけでは、元の画面を拡大したような画像になる。「カメラの立ち位置自体を変えます」「天板の奥行きと側面が見えるように」と、カメラを移動させることと、その結果見えるようになる面を明示する必要がある。
5-2. 生成画像の気になる部分を、言葉だけで修正できるか
次に生成画像を設計者の視点で確認し、気になる部分を言葉だけで修正できるかを試した。対象は検証①で生成したマンション外観の全景である。修正したい点は、次の4つだ。
- バルコニーの軒天の木目が階ごとに異なるため、明るい木目に統一したい
- 1階の黒い庇は2段の形を保ち、1段目の左側の折り返し部分にできた空洞を埋めたい
- 手すり上端の笠木が木の縦ルーバーを横切り、横線として見えているため、その線を消したい
- ガラス手すりや窓ガラスに、樹木が繰り返し映り込んでいる。樹木より高い階にも同じように映っていて不自然なため、自然な映り込みに直したい
この4点を言葉だけで指示し、修正できたかを確認した。指示文には、「直す点以外は変えないこと」と明記した。


それぞれの修正結果を、次の表にまとめた。
| 気になる点 | 結果 |
|---|---|
| 軒天の木目の色 | 直った |
| 1階の黒い庇の1段目左側、折り返し部分の空洞 | 直った(1回の指示で空洞が埋まった) |
| ガラスに映り込んだ樹木 | 直った |
| ルーバーの中を横切る笠木の横線 | 直らなかった |
軒天の木目の色の統一、1階の黒い庇の空洞、ガラスに映り込んだ樹木の3点は、それぞれ1回の指示で修正できた。庇についても、1段目左側の折り返し部分にあった空洞は埋まっており、色や映り込みに加え、形状の一部も言葉による指示で修正できている。

修正できなかったのは、ルーバーの中を横切る笠木の横線だけである。「笠木」と部材名を示し、「ルーバーの側面で止める」と納まりまで指定したが、横線は残った。画像に赤枠を描き込んで場所を示す方法や、正しい納まりを3Dで作って見せる方法も試したが、いずれも横線は消えなかった。
今回の笠木とルーバーの取り合いを見る限り、部材をどこで止めるかという細かな納まりは、指示や参考図を工夫しても直しきれない場合があると考えられる。
6. GPT-6 Astraで、生成画像から3Dモデルを起こす
GPT-6 Astraを使うと、生成画像をもとに3Dモデルを起こさせることが可能だ。そのモデルを使い、形状やデザインの検討を進めることもできる。ここでは、その方法を紹介する。
6-1. 3Dモデルの制作は、Codexを利用して依頼する
検証①で生成した外観パースの全景(2-4)を1枚、OpenAIの「Codex」に渡した。Blender MCPは、CodexからBlenderを直接操作できるようにする仕組みである。これを使ってBlenderを操作させ、次のプロンプトで3Dモデルの制作を依頼した。
【プロンプト】
添付の画像は、画像生成AIで作った集合住宅の外観パースです。Blender MCPを使って、この建物を周辺の外構も含めてBlenderで3Dモデルにしてください。
・あとから編集しやすいように、面は四角形ポリゴンで作る
・部材は別オブジェクトに分け、階とスパンが名前で分かるようにする
・作る範囲は、画像に見えている建物全体と、前面の道路・歩道・植栽・舗装などの外構
・階数と正面のスパン数は、画像を数えて決める
・カメラは画像と同じアングル・同じ画角に合わせ、水平に保つ
・1448×1086ピクセルで1枚レンダリングする

すべての面が四角形ポリゴンで構成され、部材は1,700あまりのオブジェクトに分かれている。名前から階とスパンが分かるようになっているため、変更したい部材を確認しやすい。部材が分かれていることで、庇の出やルーバーのピッチ、階高を変える検討を3Dモデル上で進められる。アングルを変えて形状を確認したり、影の落ち方を確かめたりすることもできる。
補足:ChatGPTのチャット内で依頼した場合
同じ画像とプロンプトをChatGPTのチャット内でそのまま渡した場合も試したが、あまりうまくいかなかった。チャット内ではBlenderを実際に動かして結果を確かめられないため、返ってきたのは実行用のプログラムだけで、手直しが必要になり、できたモデルも階数やスパン数が元の画像と合わなかった。今回の結果から、生成画像をもとに3Dモデルを起こすなら、Codexを使うのがよいだろう。


できあがったモデルは、元の画像どおりの7階建て・正面5スパン。前面の道路、歩道、植栽、舗装といった外構も含めて作られている。
ただし、細部には元の画像との差がまだ残っている。1階の庇の段差の位置や、上層のバルコニーの位置には、わずかなずれがある。
6-2. LDKの生成画像からも3Dモデルを起こす
同じ方法で、検証②のLDK画像からも3Dモデルを起こした。折り上げ天井と間接照明に加え、キッチン、ダイニングテーブルと椅子、ソファ、ペンダント照明まで再現された。空間を構成する主な要素は、ひととおりモデル化できている。

ただし、家具は位置とおおよその大きさを確認できる程度である。より詳細に詰める場合は、家具を置き換える必要がある。なお、寸法は画像から推し量ったもので実寸の保証はなく、図面に落とす段階では人が寸法を決めることになる。
7. 画像生成では対応できないこと
今回の検証では、画像生成をデザインの出発点として使えることを確認できた。一方、実務で利用する際に把握しておくべき限界も見えてきた。
7-1. 寸法は保証されない
検証①の4枚のカットは、見た目には同じ建物として繋がっている。ただし、階高やスパンを測ったときに整合するかどうかは、別の問題である。
生成された画像は、「寸法を考慮していないスケッチ」として扱う必要があるだろう。図面に起こす段階では、すべての寸法を人が決めることになる。
7-2. 頼んでいない要素が入ることがある
不要な要素は、禁止事項を書くことである程度は防げる。ただし、完全になくせるわけではない。掲載する画像として使う場合は、隅々まで確認する工程が必要である。
7-3. 解像度が納品には足りない
今回生成した画像は、いずれも1448×1086ピクセルだった。画面上でデザインを検討するには十分だが、竣工イメージとして印刷物や広告に掲載する品質には届いていない。
高解像度で出力するには、その分だけ計算量も消費電力も大きく増える。生成AIの解像度がすぐに実用的な納品品質へ届くとは考えにくく、当面は制約として残るだろう。決まったデザインを最終品質のビジュアルに仕上げる工程は、従来どおりの制作になる。
7-4. 修正するたびに、頼んでいない部分も描き直される場合がある
5-2では、「この3点以外は変えないこと」と明記して修正を依頼した。それでも、1回の修正でカメラが少し引き、手前の樹木の本数や大きさ、低層部の石張りの割り付けまで変わっている。修正前後を比べると、画面のおよそ3割が描き直されていた。
修正を重ねるほど、最初に気に入った画像から少しずつ離れていく。細部を詰めたい段階では、指定した箇所以外も変わってしまうという性質が、扱いにくさに繋がるだろう。
8. ChatGPT Images 2.5についてのよくある質問
- 無料プランでもChatGPT Images 2.5で画像を生成できますか?
-
はい、Images 2.5は無料プランを含むすべてのプランで利用できます。ただし、プランごとに画像生成の回数上限があります。本記事のように生成や修正を繰り返す使い方では、上限に達する可能性があります。
- 自社の図面や事例画像をアップロードしても大丈夫でしょうか?
-
機密情報の取り扱いは、ご契約のプランとデータ利用の設定によって異なります。クライアントからお預かりした図面や非公開の計画をアップロードする際は、社内のルールを確認したうえでご判断ください。今回の検証では、私たちの自社サイトで公開済みの事例画像だけを使用しています。
- 生成した画像を、そのまま提案資料に使えますか?
-
検討段階の資料としては使えます。ただし、今回の出力は1448×1086ピクセルのため、印刷物や大きく引き伸ばして使う用途には向きません。細部に想定外の描画が残る場合もあるため、社外に出す資料では、必ず画像の内容を確認してください。
- 何回くらいやり直せば、思ったものが出てきますか?
-
今回の検証では、取り入れたい要素を名前で列挙し、禁止事項をあらかじめ書いた場合、1〜2回で狙いに近い画像が出ています。指示が抽象的になるほど、やり直しの回数は増える傾向があります。
- AIで生成した画像から、3Dモデルを作ることはできますか?
-
はい、作れます。今回の検証では、生成した外観パース1枚をOpenAIのCodex(モデルはAstra)に渡し、Blenderで3Dモデルを作成しました。元の画像に重ねて線が合うまで修正するよう指示したところ、階数やルーバーの位置まで画像と重なるモデルができました。
ただし、寸法は画像からの推定であり、実寸は保証されません。設計や最終的なビジュアル制作に使う際には、人が寸法を確認し、調整する必要があります。
9. まとめ
ChatGPT Images 2.5は、参考事例の要素を組み合わせ、建築やインテリアのデザイン案を具体化するために活用できることがわかった。私たちのCGパースを使った検証では、マンションの外観・LDK・飲食店の内装で、デザインを生成することができた。同じデザインを保ちながら、別のアングルで確認できる点も、検討に役立つ特徴である。
ただし、2つの事例を渡して一文だけで頼んだ場合は、それぞれの塊を並べた足し算になってしまう。評価している要素を分解し、素材や構成を具体的にプロンプトへ書くことで、両者の要素が混ざったデザインに近づけることができる。参考事例のどこを取り入れたいのか、言葉で明確に伝えることが重要である。
また、GPT-6 AstraをCodexで利用し、Blender MCPを使ってBlenderを操作させることで、生成画像から3Dモデルを起こすことも可能だ。ChatGPTのチャット内でそのまま依頼した場合はうまくいかなかったが、Codexでは外観やLDKをモデル化でき、立体として形状や空間構成を検討する方法としても活用できる。
寸法の整合性や解像度には制約があり、頼んでいない要素が入ることや、修正のたびに他の部分まで描き直される点には注意が必要ではある。しかし、こうした特性を理解したうえで、参考事例から案を起こし、見え方を確かめながら方向性を探る用途であれば、デザインの初期段階で使える道具であるといえるだろう。
画像生成AIを建築プレゼンで使う方法は、こちらの記事でも解説している。


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