建築パース・CGパース制作に必須【Chaos Scatter】活用法

建築パース・CGパース制作に必須【Chaos Scatter】活用法

3Dシーン制作では、広い範囲に木や石などを大量に配置し、リアルな景観を再現しなければならないことがある。しかし、これを手作業で行うと膨大な時間と労力がかかるため、効率化が求められる。

そこで役立つのが、ChaosCoronaのサブスクライブで利用できる「Chaos Scatter」である。このツールを使えば、木や草、石などのオブジェクトを一瞬でシーン全体に自然に配置でき、短時間でリアルな風景を作り上げることができる。

建築パースやCGパース制作においても、Chaos Scatterを活用することで作業効率が飛躍的に向上し、自然な景観が手軽に再現できる。

この記事では、Chaos Scatterの機能や使い方、有料ツール「ForestPack」との違いについて詳しく解説していく。ぜひ参考にしてもらいたい。

【この記事の要約:30秒でわかる結論】

  • 結論: 大量の植栽や石を配置する「スキャッタリング」において、高価な有料プラグイン(Forest Pack)はもはや必須ではない。Coronaに標準搭載された「Chaos Scatter」を使えば、追加コストゼロで、プロ品質の自然環境を短時間かつ直感的に構築できる。
  • 独自の視点: Forest Packは多機能だが、建築パース制作においてその全機能を使うことは稀であり、逆に設定の複雑さやクラッシュの原因になることもある。Chaos Scatterは「必要な機能だけ」を厳選しており、何よりCoronaとの相性が抜群で動作が軽い。実務では「多機能」よりも「止まらない(安定性)」ことの方が価値がある。
  • 読後の結果: 「植栽配置は重くて面倒」というストレスから解放される。追加予算をかけずに、広大な草原や森をサクサク作れるようになり、レンダリングエラーに怯えることなく、安定した制作フローを確立できる。
目次

1. Chaos Scatterとは?

森の中の平屋外観CGパース。左半分は樹木や下草をプロキシ表示した3ds Maxビューポート、右半分は完成レンダリングで、黒い外壁と切妻屋根の住宅、大開口、白いSUV、木漏れ日

Chaos Scatterは、Chaos Groupが提供する3Dシーン向けのスキャッタリングツールで、大量のオブジェクトを短時間で自然に配置することができる。たとえば、シーン内に草木や石、車両などを散りばめ、リアルな雰囲気を作り出す際には必須のツールである。スキャッタリングとは、設定したエリアにオブジェクトをランダムに自動配置する技術であり、手作業では膨大な時間がかかる作業も効率的に行えるのが特徴だ。

Chaos Scatterの機能は、単にオブジェクトをばらまくだけでなく、配置のバランスや密度も調整し、自然な見た目を保つことが可能。数千から数万単位のオブジェクトを配置しても、シーン全体がリアルに見えるよう自動調整がなされるため、視覚的な一貫性も確保できる。

Chaos Scatterの設定で用いる3Dモデルは、多数の散布を行うとPCへの負荷が発生するため、Proxy化して利用するのが一般的である。Proxy(プロキシ)については以下の記事にて解説している。


>>>関連記事 【Proxy/プロキシとは?】建築パース・CGパース大規模シーンに必須ツール

2. Chaos Scatterのメリット

Chaos Scatterには、3Dシーン制作をよりスムーズで効果的に進めるための多くのメリットがある。ここからは、具体的にどのような利点があるのかを詳しく見ていこう。

◎ 効率的なシーン構築
Chaos Scatterを使えば、大量のオブジェクトを短時間で簡単に配置できるため、シーン作成のスピードが大幅に向上する。手作業で行うと時間のかかる作業も、このツールなら自動的に素早く処理できる。

◎ 自然な配置
オブジェクトの配置は、カスタマイズ可能な設定で自由にバリエーションを加えられる。同じオブジェクトが並んだような不自然さを避け、リアルなシーンを作り上げることができる。

◎ リソースの節約
Chaos Scatterはシーン内のポリゴン数を効率的に処理し、システムの負荷を抑えることで、シーンが複雑になってもパフォーマンスを維持することができる。これにより、作業がスムーズに進み、全体的な制作効率が向上する。

◎ コストパフォーマンス
Chaos Scatterは、Chaos Corona Rendererのサブスクリプションに含まれており、追加の費用なしで利用できる。高品質なシーンを低コストで作成できる点は、プロジェクトの予算を抑えたい場合に非常に有利だ。

3. Chaos ScatterとForest Packの違い

スキャッタリングツール2種のロゴ比較。左がオレンジ地に炎のマークのChaos Corona、右が「Fp」の文字のForest Pack

スキャッタリングツールには、Chaos ScatterとForest Packという2つの選択肢がある。どちらも3Dシーン制作で役立つが、それぞれに異なる特徴とメリットがある。ここでは、ユーザーインターフェースや機能の違い、価格などの面から、この2つのツールの違いを比較してみよう。

〇 ユーザーインターフェースと使いやすさ
Chaos Scatterは、操作が直感的で、インターフェースがシンプルなため、初心者でも短期間で習得できる設計が特徴だ。一方、Forest Packは多機能で柔軟性が高いが、その反面、設定項目が多く、初めてのユーザーには慣れるまでに時間がかかることがある。

〇 機能の深さと多様性
Forest Packは、スキャッタリングに関する多彩な機能を提供し、複雑な配置やアニメーションにも対応しているので、より高度なシーン作成が可能である。対して、Chaos Scatterは基本的なスキャッタリングに特化しており、シンプルで使いやすいことが強みとなっているが、複雑なカスタマイズやアニメーション機能は対応していない。

〇 価格
Forest Packは有料のプラグインで、追加の費用が発生する。一方、Chaos ScatterはChaos Corona Rendererのサブスクリプションに含まれており、追加費用なしで利用できる。

〇 レンダリングエンジンとの統合
Chaos ScatterはChaos Corona Rendererとの統合を前提に設計されており、最適なパフォーマンスと高品質なレンダリングを実現する。Forest Packも主要なレンダリングエンジンと互換性があるが、利用の際に不具合が発生することがたまにある。

〇 システムの安定性
Chaos ScatterはChaos Coronaとの高い互換性により、リアルタイムレンダリング時の安定性を保つ。一方、Forest Packは高機能だが、場合によってはChaos Coronaのリアルタイムレンダリングに影響を与えることがある。そのため、Chaos Scatterを使用することでシステムの安定性を確保しやすくなる。

4. Chaos Scatterの設定方法

実際にChaosScatterの設定方法を解説していこう。今回は、下画像のような山道を制作する方法を通してその方法を説明していく。

Chaos Scatterで作成した山道の完成状態。起伏のある地面に緑の下草を密に散布し、中央を砂利の小道が蛇行、黄色と白の小花が点在する

4-1. 3Dモデルを散布する方法

3ds MaxのPlaneパラメータ。Length・Widthとも300.0cm、Length Segs・Width Segsとも50、Total Faces 5000、Generate Mapping Coordsにチェック。左のビューポートに分割された平面

300×300cmの平面オブジェクトを制作。分割数は50ずつに設定して配置する。

3ds MaxのNoiseモディファイヤ設定。赤枠でSeed 0・Scale 130.0、Strength X 0.0cm/Y 0.0cm/Z 30.0cmを示し、左のビューポートで平面が波打った起伏になっている

その平面オブジェクトに「Noise」モディファイヤを適用。Noise:Scaleを「130」、Strength:Z:「30cm」に設定すると、フラットな状態から波打ったような高低差のある面オブジェクトが作成される。

Corona Material Libraryの「Ground Gravel Leaves」を右クリックメニューのAssign to selected objectsで面に適用。右はUVW MapのMappingがBox、赤枠のReal-World Map Sizeにチェック

その面オブジェクトを選択し、Corona Material LibraryよりNature>「Ground Grabel Leabes」を選び右クリックからマテリアルを適用する。UVW Mapモディファイヤを適用してMappingをBoxに変更、「Real-World Map Size」にチェックをすると、適切なサイズでマッピングがされる。

Chaos Cosmosのブラウザ画面。左にVegetationのTrees、Indoor plants、Shrubs & bushes、Flowers, grass & rocksが並び、選択された草の3Dモデル3点にチェックが付いている

次に、ChaosCosmosを利用して、配置する3Dモデルをインポートする。ChaosCosmosアイコンをクリックしてウィンドウを表示し、3D Models>Vegetation>Flowers<grass&rocksより、「Ray Grass 001」・「Ray Grass 002」・「Ray Grass 003」をそれぞれダウンロードしてインポートを行う。

3ds Maxビューポートに設置したChaos Scatter001のヘルパー。赤矢印がツールバーのChaos Scatterアイコンを指し、赤字で「Chaos Scatter」「インポートした3Dモデル」と注記。右に草のモデル3点

ChaosScatterツールバーよりアイコンをクリック、ビューポートの任意の場所をドラッグすることで、ChaosScatterのツールアイコンが設置される。(ChaosScatterアイコンが表示されてない場合は、ウィンドウ上部を右クリックし、Chaos Scatter toolbaraを表示するように設定)スキャッタリングを管理するツールアイコンと、3Dモデルは隣り合わせに配置してまとめておくことをお勧めする。

Chaos ScatterのObjectsタブ。Distribute-on target objectsにPlane001、Instanced model objectsにRay Grass 003_001・002_001・001_001を各1.000で登録。赤枠は追加の+ボタン

ここからが、Chaos Scatterの設定になる。Chaos Scatterモディファイヤを選択すると、いくつかのタブが表示される。まずは一番上段の「Object」の設定を見ていこう。上段のウィンドウは、3Dモデルを散布したい範囲となるオブジェクトを選択する箇所になる。

Chaos ScatterのSurface Scatteringタブ。Random distributionのCountを赤枠で20000に変更。左がCount 1000でまばら、右がCount 20000で地面が下草に覆われた状態の比較

次は「Surface Scattering」の項目。デフォルトではRandom distribution:Countが「1000」になっているので、「20000」に変更。

Chaos ScatterのTransformationsタブ。Rotation ZがFrom 0.0〜To 360.0、赤枠のScale [%] XがFrom 100.0〜To 180.0、Uniform scaleにチェック。左が調整前、右が大きさにばらつきを付けた結果

最後の設定項目は「Transformations」だ。散布する3DモデルのXYZの座標軸・回転・スケールのバリエーションを設定することができる。ここではスケールのみバリエーションを加えるだけで、十分な結果が得られることが多い。物足りない場合に、座標や回転を加えていく程度と考えておけばよい。

一般的なChaosScatterを利用した散布方法は以上である。タブの種類の割には、主要な設定項目は意外と少なくシンプルなことがお分かりいただけただろう。

4-2. 散布範囲を除外する方法

下草が設定範囲全般にわたって配置した状態を表現できた。次は、この3Dモデルが散布された範囲を限定して、山道を表現していく。

Chaos ScatterのAreasタブで、Spline excludesに道の軌跡スプラインLine001(Near 1.00・Far 1.00)を登録した状態。左がTopビュー、中央がLeftビューの散布範囲

山道は、下草の生えていない範囲を設定することで作成することができる。まずは道の軌跡を、スプラインを利用して描く。そのスプラインは、わかりやすいよう他のオブジェクトと異なるレベルで管理するとよい。Chaos Scatterモディファイヤーより、Areas:Spline excludesより+アイコンをクリックして、先ほど描いたスプラインを選択する。

Spline exclude optionsをNear 1.0cm・Far 40.0cmに設定した状態(赤枠)。左のビューでスプラインから40cmの範囲の下草が除外され、境界のぼやけた山道が現れている

Spline exclude options:Farの数値を「40」cmにすることで、このスプラインから40cmの範囲はスキャッタリングを行わないという設定が可能となる。

Spline exclude optionsのNearも40.0cmに変更した状態(赤枠、Far 40.0cm)。左のビューで下草と道の境界がはっきりした山道になっている

Spline exclude options:Nearの数値も「40」cmにすると、しっかりとした境界線が見えてくる。自然界の情景を表現する際は、境界があいまいなNear数値「10~20」程度が適切かと思われる。

4-3. 散布範囲を限定する方法

今度は逆に、範囲を限定する方法を紹介する。

Chaos Cosmosで選択したタンポポの3Dモデル3点。左が黄色い花、中央が綿毛、右が花と綿毛が混在した株で、いずれも選択済みのチェックが付いている

ChaosCosmosからこのタンポポの3Dモデルを、ChaosScatterを使って道沿いにランダム配置していく。

Chaos ScatterのAreasタブでSpline includesにLine002(Near 0.94・Far 59.2)とLine003(Near 1.00・Far 42.6)を登録。左のTopビューで赤矢印が対象スプラインを指し、右は道沿いに散布を限定した結果

散布範囲を除外したときと同様に、スプラインを利用して、限定したい範囲をおおまかに指定する。そして今度は、AreasタブのSpline includesのウィンドウにそのスプラインをよみこませる。Near・Farの数値を調整しながらバランスを見て決定する。

範囲を限定したい場合は、ポリゴンで散布する全体を指定した上で、スプラインで限定的な範囲を指示するといった方法だ。

Chaos Cosmosで追加選択した下草の3Dモデル3点。左と右は背の低い横に広がる芝、中央は背の高い房状の草で、いずれも選択済みのチェックが付いている

下草が単調に思えたので、3Dモデルを追加する。(ChaosCosmosより「Bermuda Grass 003」・「Bermuda Grass 002」「Bermuda Grass 001」)

下草を追加して散布した結果。左のTopビューで赤矢印が2つの散布範囲スプラインを指し、右は起伏した地面を下草と小花が覆い、中央を砂利の山道が抜ける完成状態

こちらも、散布する範囲やカウント数、スケールを調整して配置する。これでChasoScatterを利用した山道の表現は完了である。

5. Q&Aセクション

Chaos Scatterはどのようなオブジェクトをスキャッタリングできますか?

草木、石、車両などの自然物や人工物など、あらゆるオブジェクトをスキャッタリングできます。特に建築やランドスケープデザインでよく利用されています。

無料で使えると聞きましたが、本当ですか?

はい、Chaos ScatterはChaos Corona Rendererのサブスクリプションに含まれているため、追加費用なしで利用できます。

Forest Packから移行する利点は何ですか?

Chaos Scatterは、Chaos Coronaとの高い互換性と安定性が魅力です。リアルタイムレンダリング中のトラブルを軽減でき、3Dシーン制作の効率が向上します。

Chaos Scatterはどの3Dソフトウェアに対応していますか?

Chaos ScatterはChaosCoronaRenderの専用ツールで、このレンダラーに対応する3dsMaxとCinema4Dでの利用が可能です。

Chaos Scatterを使用するために特別なハードウェアは必要ですか?

特別なハードウェアは必要ありませんが、大規模なシーンを効率的に処理するためには高性能なGPUや十分なメモリを搭載したPCが推奨されます。

6. まとめ

Chaos Scatterは、3Dシーン制作において、効率的で自然なスキャッタリングを実現するための強力なツールである。

操作がシンプルで直感的なインターフェースを備えているため、初心者でも使いやすく、プロフェッショナルにも支持されている。特に、Chaos Corona Rendererと組み合わせて使うことで、無料で利用できる点やリアルタイムレンダリング時の高い安定性が大きな強みとなっている。

この記事では、Chaos Scatterの基本的な機能から具体的な設定方法、応用事例までを詳しく紹介した。このツールを使うことで、シーン制作の効率が大幅に向上し、自然なビジュアルを短時間で作り出すことができる。ぜひ、あなたのプロジェクトでChaos Scatterを活用し、その効果を実感してほしい。

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