

プロはどんなところを意識して建築CG制作しているのだろう
「もうちょっと迫力のある建築パースにしたいんだけどなぁ」
「なんか物足りない・・・・アングルが悪いのかな」
「頑張りたい気持ちはあるのだけど、情報が少なすぎて」
そんな方に向けた記事になります。
今回ご紹介する内容は
普段なにげなく決めているカメラの位置と設定。
建築パースをより魅力的なものにするには、カメラの役割をきちんと理解して設定に落とし込んでいなければなりません。
しかし情報を探せば、パースの基本的な説明だけだったり実際のレンズなどの小難しい話ばかり。
「3DCGを利用した建築パース制作時におけるカメラ設定の要点を知りたい」のが目的だと思いますが
なかなかその情報にはたどりつけないのが現状でしょう。
この記事では、建築パース制作時におけるカメラの高さ、焦点距離、遠近法、フレームのカット等、適切なアングルを
見つけるためのアドバイスを提供します。
それらは、現役建築パース制作のプロが日々考えながらアングルを決定している内容です。
いままでなにげなく決めていたアングルをこれからは「明確な目的と根拠」によって決定できるようになることでしょう。
カメラの高さ(視点高さ)を設定する

視点の高さについて、通常弊社では高さ1000mm程度の低めの設定を好んで使用します。
空間全体の雰囲気を把握させると共に、ローアングル特有の訴求性と表現力が得られます。
(通常の写真撮影ではアングルを下げることで人物の足が長くみえたりスタイルがよく映りますよね)
しかしながら、視点が低くなることで見えなくなる要素も出てきてしまいます。
外観の建築パースでは手前の地面、内観ではテーブルの上の小物など。
シンプルな建物で環境面のディテールが必要な場合や、飲食店などの場合は若干視点の高さを上げる場合もあります。
▼弊社制作の内観パースでは視点高さ1000mmを採用▼
>> 内観パース制作事例[株式会社モデルノ]
適切な焦点距離を選択する

非常に大きなプロジェクト全体を表現する必要がある場合は、短い焦点距離(25mm程度)を使用し遠近法による歪みが目立たないよう位置を調整します。一方、ディテールを表現する必要があるような場合は長い焦点距離(80mmなど)を使用してみてください。より安定した雰囲気となります。(画像右下)
人間の目の視界にもっとも近いとされている焦点距離は40〜50mmと言われています。
弊社ではだいたい50mm前後で調整しております。これらの値から離れると、非現実的な画像が作成されやすくなるので注意が必要です。
まとめると、焦点距離が小さい場合は遠近感は深くなる(広く見える)がその線が異常になるリスク(歪み)が高くなります。
逆に焦点距離が長い場合は遠近法の変形は少なく(安定)なりますが奥行きが浅くなり平坦な印象となります。
遠近効果を賢く利用する

焦点距離と同様に遠近法も画像の知覚に非常に強い影響を及ぼします。特に遠近法は画像を見た時に進む経路に目を向けます。たとえばこの画像を見てください。
ほぼ間違いなく視点は奥のアームチェアとスタンドライトに向けられます。それが視点の消失点だからです。このルールに従えば、画像を見る人のビジョンを正確なポイントに向けて導くことが可能です。
正面か角度をつけるか
建築パースでよく見る構図の大きな違いは2点、
正面から見た構図(一点透視図)か、角度を付けた構図(二点・三点透視図)なのかです。
それぞれどのような目的をもって決定・利用されるのかを解説していこうと思います。
正面からのアングル

真っ直ぐのアングルは静的なイメージが強く、前述の遠近効果による訴求力も期待できます。
また、パースがかかっていないので個々の情報が把握しやすく、空間の構成を伝えるのに適した構図と言えます。
単調にはなりがちですが、安定感と落ち着いた雰囲気からインテリアシーンでは多様されるアングルです。
角度をつけたアングル

角度をつけたアングルは広がりや開放感を誇張して表現でき、動的で、全体的なイメージを伝える力が強いと言えます。
住宅の販売広告では、角度をつけ立体感を演出し、そこでの生活イメージが湧きやすい効果を期待してアングルを決定します。
正面のものに比べて、感情へ訴えかける構図になりやすい特徴があります。
三分割構図

このルールは写真撮影で非常によく知られているルールであり非常に便利です。
9つのゾーンに画像を分割して見ると、目は真ん中ではなくこれら4つのポイントの1つ
特に左上のポイントに焦点を合わせます。
それらのポイントに被写体を配置すると全体のバランスが取れたアングルになります。
Cinema4Dを利用した三分割構図の利用方法はこちらの記事で紹介しています。
▼結構便利なのに意外と知られていないCinema4Dテクニック▼
>> 建築CG制作に使えるCinema4dテクニック
光がどこからくるか

建築を設計するときに大きく意識するのは光の取り入れ方ではないでしょうか。
人はまず最初に明るいと感じるところに目が行き、設計者はその光が作用する効果を独自の手法で表現しようと試みます。
その意図を読み取って構図に反映すること、明るさのリズムをつくることを意識してアングルを決定しましょう。
光と影の間に最大のコントラストを設けることに注視してください。
上の写真において、どのように視点が移動したでしょうか。下画像の数字順になったのではないでしょうか。
前述の「まず最初に明るいと感じるところ」に視点が行き最終の暗いところまで対角線上にすべてを見渡す結果になったことでしょう。

今回のまとめ
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