どんなサイズで作ればいい?建築パースの用途別アスペクト比

スマホやデジカメで撮影した写真を印刷してみたら、「なんかバランスが悪い・・・」や「必要なところが切り取られてる・・」といった思いを経験をしたことがあるだろう。これは撮影時に設定している縦横比(アスペクト比)と印刷用紙のサイズが合ってないため、自動で調整が行われることが原因である。

建築CGでも同様のことが起こる。A版印刷を想定して制作したパースをSNSで投稿しようとすると、想像していたのとは異なる見え方になってしまい、その魅力を十分に表現できない・・・というのはよくあることだ。

今までは紙に印刷することで建築CGを活用するのが大半だったが、昨今ではWebサイトやSNSの投稿がメインで、印刷を行わない場合も増えてきている。そのような使い方が想定される場合は、その用途に適した縦横比(アスペクト比)でCGパースを制作してみよう。比率が変わるだけで、受け取る印象も大きく異なってくる。

今回は、計画の魅力を最大限伝えるために意外と大事な要素であるアスペクト比を解説していく。

目次

1. そもそもアスペクト比とは?

まずはアスペクト比についての理解を深めておこう。
そもそもアスペクト比とは画面や画像などの縦横の比率のこと。1:1や4:3などコロンで区切られた2つの数字で表記される。

いまこの記事を読まれているのがPCの場合、そのモニターはスクエアタイプの「4:3」かワイドタイプの「16:9」のどちらかのアスペクト比を採用したものである。

2. 一般的なアスペクト比の特徴

横長・ワイド・縦長とそれぞれのアスペクト比には異なる特徴がある。それぞれを解説していく。

2-1. 3:2

多くのカメラで使われているスタンダードな縦横比。人間の視野にもっとも近い比率と言われており、落ち着きがありバランスの取れた構図を設定することができる。はがきに近いアスペクト比なので、ポストカードや年賀状の印刷に適している。

2-2. 4:3

コンパクトデジタルカメラやアナログテレビなどの一昔前に採用されていた比率。
少し窮屈で野暮ったい印象があり、プリントするには使いにくい。

2-3. 16:9

縦横比が大きくパノラマ感が出るので、風景をダイナミックに表現したい場合に用いられる。
ハイビジョンテレビに近い比率で、映像関連で多く利用される。

2-4. 1:1

正方形の比率でインスタグラムなどのSNS、モバイル画面でよく利用される比率。
主題がはっきりとしている場合に用いられることが多い。

3. 用途別アスペクト比

最適なアスペクト比は、その画像の用途によって変わってくる。はじめから使用する目的がわかっている場合は、用途に応じたアスペクト比で建築CGを制作するのがよい。それぞれの場合について最適なアスペクト比について解説していく。

3-1. 印刷

建築CGは印刷して利用される場面が一番多い。その理由から制作会社は基本、A判規格のアスペクト比を基準に制作を行う。よって用途が特に決まってない場合は、一般的な様式サイズであるA判サイズを想定したアスペクト比を採用するのが無難だ。
A4~A0の規格寸法はすべて縦横1:1.414の比率であり、これは白銀比と呼ばれ、日本では古くから神の比率として建築物の中に多く取り入れられてきたものである。

3-2. Webサイト

自社サイトやWeb広告など、表示する箇所によってそのサイズやアスペクト比が変わってくる。Webサイト担当者などに確認の上、詳細を決定しよう。一般的には、上記のA判印刷想定の比率で制作を行い、Web利用時にトリミングをう場合が多い。

3-3. SNS

ソーシャルメディアで利用する場合は、それぞれのプラットフォームで最適なアスペクト比が異なるので注意が必要だ。どちらかというと印刷やWebサイトでは横長の構成が多かったが、スマホでの利用が中心となることを見越してSNSでは縦長の比率が多く利用されている。

3-2-1. インスタグラム

インスタグラムの通常投稿では縦長のアスペクト比4:5(max:1080×1350ピクセル)で画像を用意すると、画面いっぱいに表示させることができる。スマホ画面などの比較的小さなディスプレイで利用されることが多いので、投稿画像は最大サイズで表示させるのがお勧めだ。1:1の正方形と4:5の縦長投稿の例を示す。

1080×1080px(1:1)での画像投稿の例
1080×1350px(4:5)での画像投稿の例

複数枚の画像を同時に投稿する場合は、画像ごとにアスペクト比の設定ができない。すべての画像に同じアスペクト比が適用されてしまうため、注意が必要である。

3-2-2. Pinterest

ピンタレスト用の画像(ピン)のアスペクト比は縦長で2:3(max:1000×1500ピクセル)が推奨されている。こちらも横長や正方形の画像に比べて、表示サイズを大きくすることができるので推奨されているアスペクト比で画像を用意するのがよい。

3-2-3. twitter

Twitterでは、縦長・横長画像のどちらでもきれいにおさまるサイズをおさえておけば問題はない。
縦長で綺麗におさめるには3:4や1:2といったアスペクト比で画像を作成するのがよい。(例:960×1280ピクセル・640×1280ピクセル)横長の場合は16:9や2:1の比(例:1280×720・1280×640ピクセル)でおさめれば、PC・スマホ両方で見ても切り取られることなく綺麗に表示される。

横長画像の投稿例

3-4. 広告

広告でCGパースを利用する場合は、Webサイト同様レイアウト・デザインにより表示領域が変わるため、それに合わせてアスペクト比を設定するのがよい。

3-5. プレゼンテーション

意匠計画のプレゼンにCGパースを利用するケースはとても多い。いまだA判印刷想定のアスペクト比を前提に制作するのが無難だ。設計コンペ等、レイアウトを伴うプレゼン資料に利用する場合は、縦長か横長か程度は把握した上でCGの制作を行おう。

4. 建築パースの用途別アスペクト比まとめ

以上が建築CGパースの用途別アスペクト比の解説である。
A判の印刷想定アスペクト比(1:1.414)にて制作するのが無難であるが、用途や利用サイズが決まっている場合は、それに合わせて制作するのがベター。特にSNSの投稿では、決められた表示ルールの中で大切な部分が表示されず意図した内容が伝わらなくなってしまうことがあるので可能な限り調整したい。

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